私の恋人が凄いトレーナー、それを実感したのはつい最近のこと。彼が四天王という地位に就いていたことは前々から知っていた、けどその実力を見たことがなかったのだ……というよりリョウは何故か私にバトルしてる姿を"見せてくれなかった"。
けれどこの前、たまたまやっていたテレビ番組で彼の闘いっぷりを見てしまったのだ。バトルにはとことん素直で勝負後に虫ポケモンについて語るリョウを見て感じたこと、彼はきっと無理をしている。
「なんで私の前ではバトルしてくれないの?雑誌の特集みたいに虫ポケモン云々を語ってくれないの?」
だから思い切ってきいてみたんだ。すると私の隣で寝ころんでいたリョウはスッと起き上がって此方を見据えてきた。その目には驚きと困惑とが入り混じっているように思える。
「だって、なまえはバトルとか虫ポケモンとか興味ないでしょ?」
「そんなことないよ、」
多分…と言ってみるも、今までの自分の行動を思い返してみれば確かに無責任な発言が多かったように思える。バトルをして何が楽しいのか分からない、とこの間のデートで愚痴を零してしまっていたのも悪かったかなと今頃気付いてしまった。
「あー…よくよく考えてみれば私自分の意見ばっかりだ。ごめん」
「えっと、そうじゃなくて」
言葉を濁すリョウに私は少し首を傾げた。他にも理由があったのか、とりあえず私はリョウが話してくれるのを待ってみることに。しかし中々意見が纏まらないのか、リョウはずっと軽く頭を掻いたままだった。
「ほら、その、2人っきりの時くらいはみんなのこと忘れてなまえのこと考えていたいなあ……なんて」
そう言い終わるとリョウはかなり深く俯いてしまった。当たり前だ、あんなこっぱずかしい台詞を言ってきたんだから。お蔭で私の顔もリョウと変わらないくらいの熱を帯びてしまった。
キミだけを感じたい
自分で言って照れないでよ!
ご、ごめん!
2010/04/26 浅葱