ザァァァァ……

足元まで波が迫っているにも関わらず、あたしたちは呑気に砂浜で並んで座っていた。既に日が沈む頃を迎えているので太陽の位置もずいぶん低く、ナギサの海に消えていく太陽はとても幻想的に思える。


「綺麗だね」

「おー」


ザァァァァ……

今度はゆっくりと波が引いていった。あたしたちの中にしばらく会話はなくて…だけど全然苦痛に感じなかったのは、きっと波の音が静寂を破り続けていてくれたからだ。


「ねえデンジ」

「ん?」


ズズズズズ……

砂浜の波は未だに引き続けている(今度はもう少し大きなのがくるのかな)。デンジもあたしもその幻想的な景色から目を反らすことはなくて、お互い顔を合わせぬまま会話を続けた。





「手、つなご?」

「……おう」





ザバァァァン

波が、海が、足首まで襲いかかってきて脳天気なあたしたちを引きずり込もうとした。それに反してあたしたちの表情は酷く穏やかなものだった。


甘さは控えめで



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