出会ったのは100年以上も前のこと、北流魂街の片隅で、私は貴方を見つけた。
なんて美しい人だろう
貴方はただ座っていて、目の前で行われている戦いに目を向けてはいるものの、その腰掛けた体をピクリとも動かそうとしなかった。
なんて肝の座った人だろう
戦いに興味がないのかと思ったが、違う。貴方は彼の邪魔をしたくなかったんだ。
なんて優しい人だろう
自身の目の前で戦っている、楽しそうな彼の楽しみを。
なんて、寂しい人だろう
漂泊の想いは止まない
そしてきっと、届きもしない
瀞霊廷通信連載『徒花』より抜粋