「乱菊さん起きて!早く出ないとお店閉まっちゃいますよ」
「……むにゃ…」
「ダメだなこりゃ」


やっぱりこうなってしまった。斑目第三席が来てからみんなの勢いは余計に増し、途中からそれ以上は危ういやら何やら日番谷隊長と忠告したのだけれど、誰も耳を傾けなかった結果がこれだ。見事に全滅。


「どうしますか、日番谷隊長」
「置いてけ」
「うん、僕も同感だね」
「えぇ!?」


日番谷隊長と弓親さんの思わぬ発言に持っていた酒瓶を落としそうになる、が何とか防いだ。


「酔いつぶれたコイツらが悪い」
「そうそう、こういうのは関わらないのが一番さ」
「え、ちょっと、どこから出てくつもりですか2人とも!」


私がそう叫ぶ頃には日番谷隊長は既に窓から飛び降りていた。これはいわゆる仲間を見捨てての“食い逃げ”(日番谷隊長って意外と悪だったんだ……)
そんな事実にびっくりしてる中、弓親さんはまだ桟に手を掛けているだけで飛び降りず私を見ていた。


「面倒事は嫌いなんだ」
「知って、ますけど…でもお代は」
「大丈夫だよ」


一角の財布にありったけのお金を入れておいたからね、もちろん全部一角の今月分の給料さ。

それを聞いて唖然とした。目の前で腹黒く笑っているのは本当に弓親さんなのか、と目を疑いそうな程。
そして、おいで、と声には出さないものの綺麗な笑顔で片手を私に差し出す弓親さん。私の頭はパニックになっていながらも、何故か引きつけられるように彼の手を取った。




まるで王子様
貴方の微笑みには有無を言わせない綺麗さがある





「うわ、弓親さん!?」
「隊舎まで送っていってあげる。この時間なら誰もいないだろうし」


私をお姫様抱っこしながら優しく笑う弓親さんを見て、何だか私も優しい気持ちになった。

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