「何なのですか、貴女は」
コンクリートで四方を覆われた地下通路、私たちしかいないこの空間でランスさまの声が凛と響き渡る。
私の視線は一心にランスさまを見つめ、彼は蔑んだ目をしてあたしを見下す。彼の瞳からは冷たさ以外何も感じられなかった。
理想を抱いた
「自分がこのわたしに相応しいとでも思っておいでで?」
こうなることくらい分かっていたはずじゃないか。いい結果になる確率なんて無に等しい、だけどもう辛いから、自分の気持ちにけりをつけたかったから実らない想いを伝えようと決心したんじゃないか。
全部、分かってたはずだ。
残酷な事実を知った
「まあ……それ以前にわたしには貴女が抱くような邪な気持ちを受け入れる気すらありませんが」
そう言って来た道を帰っていくランスさまに私は何も言えなかった。
きっと明日になれば彼の所属から外されているんだろう。他のしたっぱたちとは比べものにならない努力を積んで彼の補佐という地位を獲得したのに、それも明日になれば水の泡なのだろう。
だけど、
人を思いやる心がない、人を傷つける言葉しか知らない。よくよく考えたらそんな人こちらから願い下げだと思った。盲目になりすぎてそんな事も気付かなかったなんて。
なーんだ、それなら私ランスさまにフられて良かったじゃん。ていうか正直言ってやっとランスさま以外の人と恋愛が出来るわけでしょう?辛くて泣きたくなるような片想いから解放されたわけでしょう?これこそ万々歳じゃない。
これからは両想いできる恋を探せばいいや、ロケット団に男なんていっぱいいるんだし!
まだ、貴方が好き
私の双眼からは涙がとめどなく溢れてくる。ああ駄目だ、強がれない。いつもなら割り切って次の恋にいけたんだけどな、
「ははっ……私、本当にランスさまが好きだったみたい」