「ナルトくん……大丈夫?」



 夕暮れまで続いた修行。ボロボロの格好で自来也に背負われたナルトへなまえが声をかける。



「腹……減ったってばよ……」

「ごめんね? 私が何回も影分身見せてもらったから……」

「あー……だいじょぶ、だいじょぶ。そんなの関係ないってばよ」



 へらり。笑って応えるナルトだが、その顔には疲労の色が色濃く浮かんでいて。
 たた。前に回り込んできたなまえの表情に、自来也はなまえが何を言わんとしているかを感じ取り溜め息を吐く。



「自来也さま……あの、」

「……仕方ないのう」

「あ、ありがとうございます! 自来也さま」



 ぱあっと顔を輝かせたなまえは、再びナルトの横へと並んで嬉しそうに話し始める。



「ね、ナルトくん。今日はうちで夕飯食べていって?」

「え……いいんだってば?」

「うん! みんなで食べたほうが楽しいじゃない?」

「……なまえが優しくて良かったのう? ナルト」

「……ありがとだってばよ、なまえちゃん」

「あ、じゃあ先に帰ってて! 私、買い物してくるから!」

「おう、気をつけるんだぞ?」

「はあい! また後でね、ナルトくん」



 ぱたぱた。忙しなく走っていくなまえの背中を小さくなるまで見送った後。



「なまえちゃんて……なんかあったかいってばよ」



 それは家族の温かさを知らないナルト故の率直な言葉で。
 くすぐったいような、けれど胸がほこほこと満たされていく不思議な感覚にナルトの口元は自然と綻ぶ。



「さあて。なまえが帰ってくる前に風呂にでも入っておくか」

「おう! さっぱりしてなまえちゃんの手料理頂くってばよ!」



 くすり。急に元気になったナルトに苦笑いを零したなら、自来也は家に向かって歩き出した。




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