「影……分身?」

「おう! さっき見たのは全員オレだってばよ」



 散々笑った自来也はようやくなまえに先ほどの集団は忍術であることを教えてやると。
 とりあえず弁当の心配がなくなったと安堵の息を吐くなまえにナルトを紹介する。



「弟子のナルトだ。ナルト、コイツはなまえ」

「はじめまして……」

「おう! よろしくだってばよ」



 ぺこり。なまえが頭を下げればナルトが笑顔で元気に応える。
 その笑顔はとても眩しく、なまえの顔にも自然に笑みが零れる。



「なまえはちょっと人に頼まれてな……? 二週間前から一緒に生活しとるんだ」

「ふーん……って! エロ仙人と同じ屋根の下でか!?」

「なんだ? 文句でもあるのか」



 くるり。なまえへと振り返ったナルトは眉を顰めて。



「お前……気いつけろよ? 風呂とか覗かれてっかもしれねえぞ?」



 こっそりと自来也に聞こえないようになまえに耳打ちした。



「え……っ、ええっ!?」



 かあ。頬を真っ赤に染めたなまえの脳裏に先日見せられた自来也の小説の内容がよぎって。
 不安げな表情を浮かべたなまえは自来也へと視線を向けた。



「ナルト、余計なことを言うな。なまえが怯えているだろうが」

「……取材と称して女風呂を覗いてたのは誰だってばよ?」

「あー……ゴホン、」



 ナルトのツッコミを軽くごまかした自来也はなまえの頭に手を乗せて。



「心配するな? こないだも言ったがワシはお前には手を出さんよ」



 くしゃくしゃ。まるで子供に接するような優しい眼差しでなまえを見つめ頭を撫でた。
 頭を撫でる大きな掌の温かさと、優しい眼差しが心地よくて、なまえは安心したように微笑んだ。


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