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暗い、黒い。深夜。
少し冷たい秋風がコートをなびかせる。
月明かりだけの方がきっともっと明るいだろうに、無駄に光り輝く街のネオン。
と、俺の手元で光る携帯画面。色とりどりの光が映り込むけど、残念ながら俺はこんな混ざった色は好きじゃない。
くるり、回して。手の中で遊んでみる。



「..ふ、は..竜ヶ峰帝人 3月21日生まれのO型。身長165cm体重50kg。...あははは」




何度も何度も。繰り返し読んでる、その人の情報。
読み過ぎて、今ではもう画面なんて見なくても言える。
そして、日々更新される情報。


まさか、こんな子が本当にダラーズの創始者、だなんてね。


面白い、というか興味がある、というのか......
そこはよくわからないけど、
見てて飽きない、もっと知りたくなる。



池袋の、とある道の、とあるブロックからたん、と音を立てて地面へと飛び降りる。
君の視点で池袋を見てみようか。
そしたら君の考えが少しわかる?いや、わからないな。
そう思ってさっき上っていた所よりももっと高い所に立ってみた。


君の目に池袋はどう映っているんだい?



「面白い子だね、帝人くん君って言うヒトは......」



大人しそうな顔をしていて、その下に確実に潜む何か。
不気味な本性と表現するのが正しいのかもしれないね。


そのギャップ、俺は好きだよ?
もとから人間は好きだけど一番は君かも知れない。君は俺のトクベツ。
誰よりも何よりも、俺は帝人くんをアイシテル。


だからね、



「君も俺を愛すべきだよね?帝人くん.....ふふ」



さぁ、俺の手の上に堕ちておいで。
大丈夫。受け止めてあげるからさ。






遠くで俺の名前を呼ぶ静ちゃんの声が聞こえたような気がして、再び闇へと身をひそめた。
今静ちゃんと遊んでる暇なんかないからね。


(今から君の家に潜入しに行ってあげるよ)




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