「あ〜...つかれた...」

「疲れてんだったら自分の家に帰れ。」

「嫌だね。シズちゃんの家の方が近いし、それに、」

「...あ?」

「シズちゃんの、匂い.....」


ぼふ、と軽い音をたてて枕に顔を埋めた。ふわふわの枕に、染み込んだシズちゃんの匂い。
タバコの匂いは正直キライだけど、シズちゃんの匂いは好きだ。

ぎゅっと枕を抱きしめて、深く息を吸い込んだ。
自然と口端が緩む。シズちゃんに抱きしめられているような感覚に陥って、そのままベットに寝転がった。


「手前その癖やめろよな...」

「ん?」

「...人の、匂い嗅ぐの。」

「やだ、仕方ないじゃん安心するんだよね、シズちゃんの匂い。」

「...っ黙れ!」


シズちゃんの掌が上から降ってくる。と、いってもシズちゃんはちゃんと手加減、してくれてるからいつもほど痛くはない。
近付いた距離に、シズちゃんの腕をひいた。
ギシギシとベットが軋むのを聞いて、俺は小さく笑った。


「…あぶねぇな、」

「いいじゃん、一緒にゆっくりしようよ。」

「…俺のベットの上で威張るな。」

「あはは、シズちゃんの匂い。」

「あぁもうめんどくせぇ!人の話を聞け、あと匂い嗅ぐのもやめろ。」

「え〜….」


つまんない、と口にしてみるとシズちゃんの眉間にしわが寄る。
ついでに枕も没収されて、仕方ないのでシズちゃんの腰に手を、まわした。
シズちゃんは結構細い。こうやって抱きついてみると少しばかりあの怪力は俺の錯覚ではないかと思うくらいに。
このままきつく抱きしめたら折れるんじゃないかと思ったけど、
実行したら俺の腕の方が壊れることはわかってるから止めておいた。


「….手前、前まではこんなくせなかっただろうが。」

「ん?そうだっけ?」

「….あの、よ、理由とかあんのか?」

「えぇ…なんだろ、あれかなシズちゃんの匂い嗅いでるとさ、」

「…」

「抱きしめられてるような錯覚するんだよ、多分それだけ。」


シズちゃんの右手が俺の髪をとかす。それが少し気持ちよくて頭をぐりぐりと押しつけていると、不意に体が、浮いた。
シズちゃんが俺のわきのしたに無理矢理手を入れて、持ち上げて
あぐらをかいた上におろされる。

驚いて二度三度瞬きしていると耳を赤くしたシズちゃんが、呟いた。


「匂いなんかかがなくても、こうすりゃいいことだろうが。」

「…っ」

「…ここで照れんな!!」

「….シズちゃん大好き!!」

「あぁもううぜぇぇ」



叫ぶシズちゃんをよそに首に、ゆっくりと腕をまわした。







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結局いろいろと暴走しました←

  


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