「...ねぇ、臨也ひとつ聞いてもいいかな?」
「ん?何どうしたの新羅?」
「...なんでこのメンバーで晩御飯なんて食べてるんだい?」
「...気分。」
「......」
目の前の新羅が思い切り大きなため息をついた。俺はその意味がわからなくて思わず首をかしげる。
頭を手で押さえてありえない、セルティがいないだけでも嫌なのにどうしてこんなメンバーで、と首を振る新羅をしばらく眺めていると、不意に
大きな手が俺の頭をおさえた。
「......岸谷、諦めろ。こいつがすることにはむかったところで時間の無駄だ。」
「そうだね、仕方ないな....で、臨也本当は何がしたいの?」
「え、みんなで晩御飯」
「...静雄....」
「朝からずっとそう言ってきかねぇんだよ、無理だっつてんのにうるせぇし...」
俺以外のメンバー、新羅にドタチン、シズちゃんがため息をつく。よくわからないが、不満らしい。
でも、俺はみんなでごはん食べたいからみんなを返すつもりなんてないし。
.....帰ろうとしたところで、帰る場所失くしちゃえばいいし、ね?
「.....仕方ないな、おい臨也ちゃんと座れ。」
「はぁい、ドタチンって本当お母さん、って感じだよねぇ。」
「抱きつくなよ....。お前は昔からかわらねぇな。」
「そう?」
ぐい、と腕をひかれ座るよう諭されたこともあってなんとなくドタチンの胸へダイブした。
同い年のはずなのにシズちゃんとドタチン、俺と新羅の体つきは正反対だ。
シズちゃんとドタチンはしっかりしてて、俺はシズちゃんに追われる毎日を送ってるせいで筋肉はついてる。
新羅はインドアだし、もやしだし...。高校のころからこんなに違っていただろうかと振り返ってみたものの、思い出せなかった。
「......お前メシちゃんと食ってんのかよ?」
「食べてるよ?」
「君のことだからどうせゼリー飲料やカロリー○イトとかででしょ?」
「うるさいな、新羅。時間があるときはちゃんとおいしいもの食べてるよ? 」
「臨也、お前もうちょっと太った方がいいんじゃないのか?」
「?うん?」
真剣な目でドタチンに射抜かれて思わずすとん、と座り込んだ。そういえば、最近どうしても欲しい情報があって生活が不規則だったから
体重でも減ったのだろう。
それだけのことなのに、真剣にいろいろと考えてくれるドタチンは優しい。
無性にドタチンに頭を撫でてほしくなって頭を差し出すと、細くもしっかりした指が、触れる。それが気持ちよくて目を閉じた。
「…..おい、」
「ん?どうしたのシズちゃ…?」
「オマチドウサマー、今日ノネタハ新鮮ナモノバカリヨー。缶詰アケタバカリヨー。」
「….日本語分かってて行ってるんだったらブッ飛ばされてるよお前。」
シズちゃんの声が鼓膜に響いた。どうしたの?と問いかける前にサイモンがテーブルに寿司を置いていった。
まさしくタイミングを逃した、というやつだ。
声をかけれらた訳は少し知りたい気持ちはあるけど、今はタイミングがわるい。
まぁいいか、とドタチンから体をはなし、はしを手に取った。
「頂きます。」
「君本当大トロ好きだよね。死んだ魚の目は嫌いなくせに。」
「….黙れ新羅。」
「…怪我したときいつも治療してあげてるんだからもうちょっと僕に感謝した方がいいんじゃないかな?」
「…うるせぇ。」
「同感だ。ほら、臨也も岸谷も落ち着いて食え。」
「「はーい」」
それから久しぶりに色んな事を語り合ったような、気がする。
卒業して意外にも年月は経っていて、話の種はなかなかなくならなかった。
とはいっても俺は情報屋だから知ってることの方が多かったけど、
たまにはこうやってちゃんと人とかかわるのがいいような気がする。
俺の周りには人がいない。だから余計にこうやって直接話すのが楽しいのかもしれない。
周りから言わせれば孤独、だ。これをいえばシズちゃんもそうなのだが
シズちゃんは俺と一緒じゃない。シズちゃんの周りには人がいる。
シズちゃんは、ずるい。
孤独じゃないのに、孤独だと思い込んで、嘆いて。
君の周りにはたくさんの人がいるじゃないか。
シズちゃんは、たまに言う。俺は誰からも愛されないと。
でも、本当は___
「……本当に愛されないのは俺の方なのに…..」
数秒遅れて、その言葉を声に出していたことに気づく。
しまった、と思って顔をあげると目の前のシズちゃんとばっちり目があった。
シズちゃんもまさか楽しい思い出話の最中の、俺の突然の発言に驚いたのかきょとん、としたような表情でお前…と呟いた。
「….臨也、」
「え?しん…!あぁ!」
「食べないなら貰っちゃうよ?君の大トロ」
「駄目!それ俺のだから、返せよ新羅!」
「どうしようかな….」
「その大トロは新羅より俺に食べてもらいたいんだから。」
「はいはい、わかったよ。ほら、口あけて。」
「….ん…..」
結局新羅に取られた大トロは無事俺の口の中へ。それを大人しく咀嚼しているといつのまにか俺の後ろに回っていたシズちゃんの腕が俺の体をとらえた。
「….手前って意外と馬鹿だよな。」
「??」
「あぁ口の中にものはいってんのか、ずっとそのままでいたら静かなのにな。」
「うるさいなぁ..」
「….安心しろよ。少なくとも俺はお前を愛してんだ。それで充分だろ?」
「….っ!」
「顔、あけ―な」
シズちゃんの笑い声が響く。思わず無性に泣きたくなって、ぐっと目を閉じてシズちゃんの胸に顔を押し当てた。
どくんどくんと聞こえる心拍。その音を聞きながらうっすらと目をあけると視界の端で新羅とドタチンが笑っているような、気がした。
再び響く、シズちゃんの笑い声を聞きながらぎゅっと抱きつくと
シズちゃんは少し、笑って。
俺の額に唇を、落とした。
にがい嗚咽などでなく。
*****
最初は最後の部分がシズ←イザになるようにするつもりだったんですが
いざ書き終わってみると....これ、どっち?
来神組好きです!(^^)!とくにドタチン!!相変わらず話し方はわからんがwww
みんなこっそり臨也を愛でてたらいいよ(^^)v
back