「あ!大我独り暮らしだし、もしかしてリビングにあったりして!」



リビングに入った途端、バスケ雑誌が置いてある本棚に走っていく水無月を、もう放っておくことにして自分はテーブルについて、自分が出した飲み物を飲んだ。




「あーーーっ!!!」



余りにも大きな声に飲んでいるものを吹き出しかけたが、なんとか留める。大我ってばこれなにー?と、嬉々とした声で言ってくる水無月に、いかがわしいものなど置いた記憶のない火神は立ち上がって水無月の元へ行く。



「なんだよカンナ。何か見つけて…あぁ?!!」

「ふっふっふ、大我ってば可愛いんだから!」




彼女が手にしていたのはいわゆるエロ本と呼ばれるもの、ではなく。



「なになに?えーと…"彼女の喜ぶデートスポットベスト10"に、"この夏彼女好みの男になるチャート別変身法"……大我?」



頭を抱えて、大きな身体を丸くして、あ゙ぁぁ゙あぁー、と悲鳴?をあげている大我を見つめ、くすりと笑うと、水無月はその背中に抱き付いた。



「ありがとう大我。凄く嬉しいよ」




1つ年上の彼女は、誕生日も自分より早く、同じ歳になれることがない。子供っぽく見えて、自分のことを全て見抜いてしまう。結果、自分が大きいのは身体だけで…。



「だから…」

「大丈夫だよ大我」

「え?」




「届いてるよ、ちゃんと」






遠くて届かなくて

(じゃ、部室にあったAVは大我の?)
(ぶっ!違ぇよ!てか、誰から聞いた?!)
(リコに決まってんじゃん)
(カ、カントクどんだけ根に持ってんだ…)



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