次の日。
緑間が高尾にお汁粉を渡していた。え、ちょっ、どういうこと?
「あ、あのね。カンナちゃん、その、言っておかなきゃないことがっ」
何故か緊張の面持ちで私を呼ぶ親友。ま、まさか…。
「…いや。こうも上手くいくとは思わなかったわー」
「そうね」
「オレら凄くね?キューピッドじゃん」
「そうね」
「…なんでテンション低いの」
何故かって?
たしかに、あの子のことも大事だけど。でも、今は。
「この…状況が……」
「は?聞こえねーよ?水無月」
「この状況に頭を悩ませてんのよ私はーっ!!」
何を、何を好き好んで。私が!高尾と!屋上で!2人に!なんなきゃないのよ!
「おかしいでしょーっ!?」
「落ち着けって。しょうがねぇだろー。新婚さんは2人きりにしなきゃ。」
「だからって、なんであんたがここに!」
ピロリン♪
電子音がして、高尾がケータイを開く。
「お、真ちゃんここ来るって」
「人の話を聞けー!」
しかもこれ以上悩みの種を増やすなー!
その時、ドアがかなり勢いよく開いて、出てきたのは緑の髪の大男だった。
「高尾!オレが告白したらお前も言う約束だったのだよ!さぁ、今日中に水無月に告は………なんだ、いたのか水無月。」
呆気にとられた私達はしばらく緑間を見ていたが、緑間が「ま、待たせている奴がいるから戻るのだよ」なんてほざいて帰って行った。
ギギギ、とロボットのように隣を見ると、腹を抱えて高尾が笑いを堪えていた。
が、ついに堪えきれなくなって笑い出した。
「あっはっはっはっは!!もー、真ちゃんサイコー!!ばかーっ!?」
涙を流しながら笑う高尾は、私の視線に気づくと、コホン、とわざとらしく咳をひとつして私に向き直った。
私?頭が働かなくて動けないわよっ
「と、まぁ。そういうことなんで。付き合ってください水無月。」
その態度がかえって胡散臭くて、私はやっと笑って、
「そういうことってどういうことよ!」
と、突っ込むことができた。
ロミオもジュリエットも関係ないね
(今度ダブルデートしようぜ!) (絶対イヤ!) (お、それってオレを独り占めしたいってこと?♪) (ばっ、ばっ、ばっかじゃないの?!)
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