日曜日。作戦決行の日だ。


あの子に電話して、寝坊したこと、そして留守を頼まれたから今日は行けないことを伝えた。「カンナちゃんが寝坊なんて珍しいね。また今度遊ぼうね。」というあの子に胸がちくりとした気がしたけど、ここは心を鬼にせねば!と耐えた。



作戦はこうだ。



まず、私と高尾、2人が同じ日、同じ時間、同じ場所で、あの子と緑間、それぞれを誘って出かける予定を立てる。

そして私と高尾は約束の場所に行かない。

と、ぶっちゃけこれだけの、至って単純な作戦だ。あとは2人が会って、少しでも上手く行くことを願うしかない。


〜〜〜♪


悶々と、2人を心配していると、ケータイが、去年あたりに流行った女性アーティストの曲を鳴らした。ディスプレイには見たことのない番号。



「……はい?」



怪しみながら出てみる。



『お!水無月、オレオレ!』



…無言で電話を切りそうになるところを踏みとどまって、耐える。何かあの2人にあったのかも知れないからだ。…っていうか、オレオレ詐欺か!



「…なによ高尾。」

『おー!声だけでオレってわかるなんて、なかなかやるじゃん♪』

「ふざけたことばっかり言ってると切るわよ」

『ごめんってー。ところでさ水無月。暇してんだろ?』

「そうね、家にいるわ」

『なら、オレらもデートしね?』



……。

…は?



『おーい、水無月?』

「悪いけど耳に何か詰まったみたいなの」

『だーからさー。オレらもデート、しようぜ?』

「……無理ね。私留守を預かったから。」

『それは作戦だろー?』

「違うわ、ほんとよ」

『…あのさ、ちなみに水無月は、なんて言って行かなかったんだ?』

「…寝坊して、留守を預かったから行けない、って言った。ちなみに寝坊以外はほんとよ」

『…あのさ。』

「なによ」

『オレのはマジじゃないんだけど…。オレも同じ理由使っちゃった★』

「っはぁ?!」

『あっははは!オレらどんだけ気合うんだろーな?!』

「じょ、冗談じゃないわよっ!」




結局、留守を預かってるから、と高尾の誘いは断った、が。

…私、 留守預かってなかったら…高尾と…デートしてたのかな…。



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