「うん、ヨシ!」
今日は日曜日。おは朝も変わらずチェックして、ラッキーアイテムの緑のスカーフをバッグの取っ手に結びつけた。少しお洒落になったバッグを眺めて満足すると、玄関を開けて家を出た。
「行ってきまーす」
結果。友達は寝坊したとかで、しかも留守番を申し付けられたとかで来れないわ、欲しかった服は色ちがいしかなくて諦める羽目になるわ。あれ、今日の占いは決して悪くなかったはずなのに、という日になってしまった。
買い物をして、それから遊ぶ、という計画を立てていたのに1人じゃなんにもできやしない。寝坊した友達を少しだけ恨みつつ、今日はもう帰ろう、と今朝降りた駅へ向かおうとする。
「…水無月?」
後ろから聞こえた低めの声に振り返る。そこにいたのは、緑色のスカーフを胸ポケットに入れた緑間くんだった。
「緑間くん?!」
「やはり、水無月か。私服だから、一瞬わからなかったのだよ」
「うわーっ奇遇だねっ!緑間くんは誰と…あれ、1人?」
「……高尾が」
「え、高尾くん?」
「寝坊した上に留守番を申し付けられたとかで、来なかったのだよ。バッシュを買いに付き合ってくれと言ってきたのはあいつのくせに、全く腹立たしいにも程があるのだよ!」
あれ、どっかで聞いたなそれ…。
「…と、そう言うお前も1人か?」
「え、あ、うん。私の友達も…寝坊して、留守番を申し付けられたって…。あはは、一緒だね」
言った瞬間、緑間くんの表情が明らかに険しくなった。数秒ののちに、
「…高尾め、余計なことを」
と、緑間くんは言ったけど、正直意味はわからなかった。
「あの、緑間くん?」
「なんなのだよ」
「緑間くんも、暇になっちゃったなら、一緒にお茶でもしない?ただ帰るのも、もったいないしさ。ね?」
緑間くんはハッとした顔をしたけど、すぐに不敵に口角を少し上げた。
「フン、お茶しないか、なんて。いつの時代のナンパセリフなのだよ」
「あれ、緑間くんもナンパなんてするんだ?」
「…違うのだよ」
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