「紫原くんは、私の…何処が好き、なの?」



帰り道、手を繋いだまま思い切って聞いてみる。紫原くんは、ん〜、と少し唸ったあと、照れもせず、焦りもせずに進行方向を見ながら言った。



「どこ、って…オレのために一生懸命なとこ?毎日お菓子作ってくれたり、こうして待っててくれたり…あと、コンテストで優勝、してくれたり?」

「……え、どうしてそれ…」

「聞いちゃった。お友達の…なんとかちゃんから。最初、告白にOKしたのは、興味だったんだよ。カンナちん、背高いでしょ?オレ背高い子が好みだったからさ〜。カンナちん、見た目も好みだったし。でもね…」

「う、うん…」

「お友達から、カンナちんがオレに告白するために毎日お菓子のアイデア考えてたり、遅くまで試作品作ってた、って聞いて、なんか聞いた瞬間に、どうしようもなくカンナちんが可愛くなって〜。」



可愛い、という単語に顔がぼんっと火を吹く。持つべきものは、お節介な友達、らしい。



「で、気がついたらオレもカンナちんのこと大好きだったわけ〜。どう?納得、した?わ、カンナちん?」



気がつくと、紫原くんに抱きついていた。ごめんね紫原くん。お菓子作れなかったなんて嘘ついて。ごめんね、疑って。ごめんね。



「あの、ですね、紫原くん」

「なに〜?」

「明日、土曜日じゃ、ないですか。」

「そだね〜」

「で、練習も、午後から、ってさっき氷室先輩が言ってた、じゃない、ですか。」

「うん」

「で、もし良かったら、少し遅くなってもいいなら、今から私、優勝した作品、作るので、家に来ません、か?」



途端、がばぁっと、あの日のように抱き締められて。



「やったー!カンナちん、大好きーっ!」



近所迷惑では?と思うほどの大声で言われて、自分では見えないけど多分耳や指先まで真っ赤になったと思う。
















作品名は、『Dear.violet』













君だけに、カニバリズム

(てか、ホントは今日はカンナちんを食べちゃおうかな、とか思ってたんだよね)
(え?な、な、な…)
(てことで、いただきまーす)
(ふぇっ?!む、紫原く…)



prev/ next#
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -