「あなたは、委員会で一緒に仕事をした時、ボクを好きになったと言ってくれました。」
覚えてる、確かにそう言った。
「でもボクは、もっと前からあなたを好きなんです。」
「…」
あの時は、ボクも君が好きでした、とそれだけだった返事に続く言葉があるなんて。嬉しさと混乱で頭を抱えたくなる。
「あなたは、入学式の時、ボクが落とした本を拾ってくれたんですよ」
ゆっくりと、わかるように黒子くんが話してくれている。
「ボクを、見つけてくれたんですよ」
途端に起こる、記憶のフラッシュバック。そうだ、私は、あのとき。
「ちゃんと、黒子くんを、見つけられてた…?」
「はい。そんな君に、ボクはどうやら一目惚れしたようです。」
ひと…っ、と驚いた声を出せば、彼が人差し指で照れたように頬をかく。一気に顔に熱が集まってきて、両手で顔を隠す。そしたら、ふわりと何か温かいものが肩に触れて、そのまま引き寄せられた。
「く、くくくろ、黒子く」
「ちょっと、静かにしてください。」
驚いて顔をあげようとしたら彼の胸に頭を押し付けられた。あ、割と硬い。
「涙」
「え?」
「ひきましたね、涙」
あ、そういえばと思って少しだけ顔を話したら、瞬間、何かが瞼に触れた。
その正体に気付いてあわあわと口をパクパクさせたら、黒子くんが後ろを向いて、
「笑っててください。いずれまたボクを見つけられるようになるし、見つけられなくてもボクがあなたを何処にいようと見つけます。」
いつになく饒舌な彼の耳は真っ赤になっていた。
影にさよならとキスを
(初めて授業サボっちゃった!) (ボクはいなかったことにも気付かれてませんでした) (…うーん)
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