Vanguard | ナノ

 お菓子とゲーム

にょたゼル×ガルモールでポッキーの日小説。エイゼル相変わらず攻めなので注意!






エイゼルがエリクサー・ソムリエの実験(遊びとも言う)に付き合うようになってから、ガルモールはよく胃をおさえるようになった。
まぁその原因と言えばエイゼルしか見当たらず、それを十分承知していてもガルモールは、不遜な恋人に何も言えずにいた。

たちの悪いことにエイゼルは、暇有らば遊びに付き合って性別を変え、その身に何も纏わないままあちこちを歩き回る。その挙げ句にガルモールの自室に来ては嫌がるガルモールをからかった。
そもそもガルモールの方は聖騎士団時代から女性が苦手だった。それを理由に仲間からからかわれたことは嫌でも覚えてるし、今では懐かしい思い出だ。
だから仮にも外見は女性、その上全裸なエイゼルはガルモールが今もっとも近寄りたくない人なわけて。最近ではエイゼルの姿を見つけるたびに身体を凍りつかせていた。





その日、ガルモールは一日中自室に籠っていた。決してエイゼルに会いたくないからとかそんな理由からじゃない。多分。
ペリノアから渡された資料とにらめっこを始めて、もう随分と時間が経っただろう。ずっと同じ体勢でいたせいですっかり固まった身体を伸ばしていた時、乱入者は現れた。

「ガルモール!」

いつもより甲高い声が、気味の良いくらい綺麗な音をたてたドアが開くのとほとんど同時に部屋に響いた。
一番見たくも会いたくもない人物の登場に、ガルモールは無意識の内に胃をおさえながら口を開いた。

「エイゼル…」
「なんだ、まだここにいたのか」
「処理しなきゃいけない資料が溜まってたんだ。そう言うエイゼルはまた遊んでたんだ」
「ああ。頼まれてな。それにしてもガルモール、一日に一回くらい身体を動かさないと錆びるぞ」
「…仕方ないじゃん。溜まっちゃったんだし」

ペリノアから渡されていた紙の束とにらめっこを続けながらガルモールが答えれば、エイゼルはにやりと不敵な笑みを浮かべてガルモールに近付いた。

「ガルモール、ほら」
「ん…何?」
「良いからとりあえず後ろ向け」
「今忙しいんだってば…」
「我が来たとき休憩していたじゃないか」
「……」

ぐっと押し黙ったガルモールにエイゼルは勝ちを確信し、ガルモールを無理やり後ろを向かせる。

「っわ、な、何…」

驚きと焦りで声を上げたその口に、エイゼルは細い棒を突っ込んだ。

「っん、え、ぜる?これ…」

口に棒を突っ込まれて上手く発音できず舌足らずになるガルモールを見てにやりと笑うと、エイゼルは更にガルモールに近付いた。

「ヴィヴィアンとニムエが作ったらしいぞ。おつむが弱いのにがんばる団長へってな」
「は?おつむが弱いって…んっ、く…」
「あ、それはそのまま。美味しいだろ?甘さもちゃんとお前好みらしいし」

口から菓子を出そうとしたガルモールの手を押さえつけてエイゼルは笑う。
確かに口内に広がる甘味は好みの程度だし、外装の味付けも嫌いじゃない。けれどこのままでは舐めることしかできないとガルモールが目で訴えると、エイゼルの綺麗な金色の瞳がちょうど真正面に来る。

「ガルモール、そっち側からちゃんと食べろよ?」
「え?」
「ほら、スタート」

未だに状況を飲み込めずにいたらしいガルモールの後頭部を掴んで、エイゼルは反対側の菓子の先を口に入れた。

「はっ、ん…えい、ぜる…っ!」
「黙って食べなきゃ喉に刺さるぞ」
「っ!」

少し声を低くしてそう言えばガルモールは大人しく口を閉ざし、二人の距離は着実に狭まる。
最後には両の頬をいつもよりずいぶん華奢な手で包まれて、ガルモールはぎゅっと目を瞑る。
遂に菓子が終わりを告げ二人の距離が無くなると、エイゼルはそのままガルモールの唇に食いついた。

「っ、」

それは予想していなかったらしいガルモールが肩を跳ねさせる。さらに舌を絡めとろうとするエイゼルから逃げるように舌を引っ込めるガルモールに、エイゼルは再び後頭部を掴んで逃げ場を無くす。
遊びのせいで力も女性並みのエイゼルから、ガルモールが逃げられないわけでもない。けれどその手から逃れなかったのは、彼の性と言うものだろう。
優しすぎるのは良くない。
この遊びが終わったら言ってやろうと、エイゼルは緩みそうになる頬を我慢して考えていた。



(ごちそうさま、ガルモール)
(ばっ、馬鹿!何すんだよ!)
(ちょっとしたゲームだ。気にするな)
(気にするし男に戻る気ないなら服着てよ!)
(何だ。まだ気にしてたのか…)




prev|next

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -