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 お菓子くれても悪戯します


ハロウィン小説。
絶対正義の海軍の場合。


>>テオ×アルゴス





今日もいつもと変わらず忙しそうな上司の部屋に押しかけて、すっかり座り慣れたソファーを我が物顔で占領する。アルゴスさんはそんな俺を何とも言えぬ顔で俺を見た後に、大袈裟なくらいのため息を吐いて立ち上がった。

「今日は何の用だテオ」
「別に…これと言って大切な用事はありませんが…」

慣れたようにお茶を淹れるその手つきが随分といいのはベネティクト大佐のせいだと、いつしか言っていたのを思い出す。けれどそのお陰でか、アルゴスさんの淹れるお茶はアクアフォースの中でも人気がある。つまり、すごく美味しい。

「ならいちいち俺の部屋に来るな。今はちょうど忙しいんだ」
「だって…そんなこと言ったってお茶は淹れてくれるじゃないですか」
「…これは癖だ。どうせすぐ飲み終わるんだから飲んだら早く帰れ」

湯気をがたつお茶を卓上に置いて、アルゴスさんが背を向ける。
すぐさまアルゴスさんの言う通りに熱いお茶を飲み干すと、その背中に声を掛けた。

「あ、そうだアルゴスさん」
「ん?どうした?」
「ひとつ大切な用事がありました」

そう言ってアルゴスさんが振り向くのを待って、俺は懐からカボチャのお面を取り出した。

「Trick and treat」
「は?」
「だから、Trick and treatですよ」

奇怪なものを見るように眉根を寄せる上司が面白くて、ついついちょっかいをかけたくなる。
素早く立ち上がり、無防備な腕を掴んで顔を寄せた。

「お菓子くれても悪戯します」

下から瞳を覗きこむように言えば、アルゴスさんは一拍置いてから顔を朱に染め上げる。顔を背けるスピードは驚くほど早くて、苦笑が漏れてしまうのは仕方ないと思う。

「アルゴスさん、反応可愛すぎです」

それからアルゴスさんの顔の赤みが増したのは言うまでもなく、反応に飽きない上司の身体を抱きしめてみた。






(と言うかお前にそれ渡したの誰なんだ?)
(ああ、このお面ですか?これはディアマンティスさんに渡されました)
(あの人なに持ってるんだ…?)
(さぁ…)









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