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キバナさんにバレる話


※設定が死ぬほど長いです

ガラル地方現チャンピオン。
カントー生まれ(8年)、シンオウ地方→イッシュ地方(9年)→ジョウト地方→アローラ地方→ガラル地方(2X歳)
両親はホウエン出身。
各地を転々としてきたが説明が面倒なので「カントー生まれイッシュ育ち」と名乗っている。
かなりの面倒くさがりだが、ポケモン図鑑を完成させることを一番の目的にしており、捕まえたポケモン全てにあだ名をつけている。
カントー生まれの子なので背が低く、イッシュやアローラでは子供に見られることもしばしば。訂正は基本しない。お酒とタバコが好きだが補導が面倒で通販に頼りっきり。あるいは行きつけのポケセンや商店でのみ買っている。


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キバナさんにバレる話

「なまえ選手ーーっ!」「なまえ!最高のバトル期待してるぜ!」
もやもやとした胸の違和感。だがここではそれを表に出すわけにいかない。
「ありがとうございます」
蟠りを飲み込み、にこやかに二階のギャラリーへ手を振る。本来心地の良いはずの歓声も今は少し面倒だ。
ゲートにトレーナーカードをかざす。
最後にロビー全体に手を振り、私は控え室直通のエレベーターへと乗り込んだ。
扉が閉まるのと同時に深く息を吐く。
「……早くタバコ吸いたい…。」
スマホロトムを弄り、今日の招待トレーナーを選んでいく。
キバナさんか…ネズさん。カブさんもいいな。……よし、こんな所だろう。
『30分後に全員を控え室へ通してください』と従業員に連絡を流す。
この30分には、ポケモンのコンディションチェック、自分の身嗜みチェック、そしてタバコ休憩が含まれている。
普段からそこそこ喫煙を嗜んでいた私だったが、チャンピオンになってからは一層喫煙と飲酒には気をつけるようにと元チャンピオンのダンデさんから釘を刺されてきた。
確かにカントー出身の私は高く見積もっても18歳くらいの見た目だが、これでも20を越えたれっきとした女性なのに。
とはいえ、チャンピオンが煙草を吸って酒を飲む姿というのもあまり良く見えないか…と自分を納得させ、代わりにファンや記者が入れないこのシュートスタジアムの喫煙所を自分の憩いの場としたのだった。
控え室のある階に付き、喫煙所を目指す。
「おっ」
今日は誰もいない。ラッキー、とスキップしながら前面ガラスの室内に入り、ポーチから煙草を出す。ライターを灯して最初の一口を噛み締めーーーーー
「え…なまえ……?」
喫煙所の外に設置された、大きめのソファ。
それに腰掛け、垂れ目をまあるく見開きあんぐりと口を開けるキバナさんが、喫煙所のガラス越しに見えた。
バンッッッッ
「うおっ」
外側から強く叩かれたガラス戸が音を立てる。
「お前ッ何してんだ!?」
「何って煙草吸ってるんですよ……」
そう告げ、煙草を咥えつつリュックから自分のトレーナーカードを取り出した。
「私、成人してるんで」
ふぅっとガラスの向こうにいるキバナさんの、大変よく整ったその顔に煙を吹きかけ私はニヤリと笑ってみせた。

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「あーーーなんだ…その、悪かったな…」
「別に良いですよー、甘んじて受け入れてた私も私ですし」
煙草休憩は諦め、ソファでキバナさんに事情を説明すること3分。
キバナさんは顔を赤くしたり青くしたりしながら、これまでの私への子供扱いの数々を詫びていた。
「キバナさんの妹分、なんて中々ないポジションでしょう?つい嬉しくって」
「……はぁあ」
「そんなにショックでした?」
私を年下と見て手を緩める相手は少なくない。とはいえキバナさんがそんな甘い性格とも思わない。
……じゃあ、何に対するため息?
「分かってたら、もっと早く手を出したのに」
「えっ?」
聞き返す方が早いか否か、右手首と腰をガッチリ掴まれる。
「あの、キバナさん」
「唾付けてやって、大人になった瞬間に取って食っちまおうと思ってたけどよ」
射抜くようなコバルトブルー。そこに光は無い。
「とんだ、悪女だなァ?チャンピオン様は」
吊り上がったドラゴン顔負けの表情。
悲鳴はもう彼の喉奥へ呑み込まれていった。
脳にまで届きそうな粘着質な音が溢れ出し、視界は混乱と酸欠の苦しみで潤んでいる。
ようやく解放された時には足腰が立たないほど骨抜きにされていた。
「もう手加減はしてやらねえから。覚悟しとけよ?」
最後に耳にキスを一つ落として、今日のシード枠の彼は立ち去った。
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