小説 | ナノ


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大学四年、夏。就職活動も本腰を入れないとマズイ時期。
かくいう私は三年の冬にプリズムショーを引退し、春からずっと就活しているのに未だに内定が出ずにいた。
「もうやだよぉー就職活動したくなーい!楽して就職決めたーい!」
プリズムストーンのカフェで、たまたま居合わせたカケルに愚痴ってみる。
まあカケルに愚痴った所でどうしようも……
「じゃあなまえちゃん、俺っちのとこくる?」
「え?」
「十王院ホールディングス」
「は?本気?」
「うん、それにこちらとしても願ったり叶ったりだけど?」

カケルの話ではプリズムキングカップ以降、市場にプリズムウォッチの本格導入が始まり、女子モデル開発が始動。それに伴い、女性のサンプルを必要とするとのことだった。
「女子プリズムショーの経験者。持って来いの素材じゃないか」
「スコアは平均より少し上だけどね…」
「だからこそ、初心者の気持ちも分かるでショ?」
「……まあ。」
なるちゃんやべるちゃん。私より年下の天才に囲まれていながらいたって平均的なスコアだった私。
そんな自分が嫌で、プリズムショーで生きていくことを諦めた。
「企画部の面接、受けてみなよ。」
そう言ったカケルは狩る者の目をしていた。


「はぁーー……」
「みょうじサン、最終面接お疲れちゃん♪」
「…ドウモオツカレサマデス十王院財閥技術開発部長サマ」
「うわ、ひどい棒読み」
「もぉぉ〜なんで通ってるのこの面接ぅ〜…」
そう、エントリーシートを送って数日で丸の内の本社で面接。第一、第二とガチガチに緊張していたにもかかわらず通過でき、気づけば今日が最終面接だった。
「そりゃあ君の平均的な能力が欲しいんだよ。
高い記録も必要だけど、それじゃあ一般的な普及は見込めない。初心者からプロまで幅広く対応できる事が重要なの。それに、アイデア出すのも得意でしょ?」
「なるほどねぇ…。」
「ってなわけで〜…面接結果だよー!」
「早ッ」
面接終了後に別室待機を命じられていたけど、もう結果が来てるの!?
手渡された封筒を恐る恐る開ける。
仰々しい文章の中に、「採用」の文字が見えた。
「……!!」
大声を上げそうになった自身を抑えて、ガッツポーズに留める。
「おめでとう。これで春からウチの社員だよ♪」
「採用ありがとうござい"ま"す"〜〜…」
「ガチ泣き!?っていうかさ、もっと簡単に就職先決める方法あったのに。」
「え…何それ」
「十王院家に永久就職」
「…今からセクハラって適用されます?」
「何だったら今からでも内定蹴って来ていいんだよ〜?」
「お断りします!!!」

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カケルの社内での役職は捏造です。
どこかで言及されていたら教えていただけると幸いです…。

17/07/24
役職名を少しだけ修正しました。
一応キンプリ時点では役員の様ですね…