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「なまえちゃんっ」
「月子ちゃん!おは・・わぁ!?」
こんにちは、と挨拶をしようと振り返れば目の前には月子ちゃん。え、と思えばぐらりと私はバランスを崩して尻餅をついていた。
「・・・っ・・・たた・・」
「ごごごめんなさい!!大丈夫!?なまえちゃんっ」
「、大丈夫だよ。月子ちゃんは平気?」
「私は全然・・・!本当にごめんね?」
大丈夫だから気にしないでと笑えば月子ちゃんはもう一回私に謝った。月子ちゃんの笑顔は、すごく可愛くて、見てて幸せな気持ちになれるから月子ちゃんが笑ってるのが私は大好きで、だから、月子ちゃんには笑っててほしい。
・・・・なんだか、私が申し訳ない気持ちになる。
「大丈夫?二人とも」
「ったく、何やってんだよ・・・」
「錫也、哉太!」
「おはよう、二人とも」
「はよ」
「おはよう、なまえ。大丈夫?どっか怪我してないか?」
「うん、大丈夫。」
なかなか会えない月子ちゃん達に会えるなんて、今日はいいことありそうだ。
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「キャラメルエクレアください」
「はいよ。お嬢ちゃん、ラッキーだったね、最後の一個だよ」
っよかったぁああ・・・!昨日食べれなかったから・・・きっとすごい美味しいんだろうなぁ・・・顔がついつい緩んじゃうよ。今きっと私すごくだらなしない顔して・・・、る・・・
「・・・・・、・・・・・・・・」
・・・・・睨まれ・・・て、る?誰だろう、この男の子・・・ネクタイが赤だから、一年生だよね?・・・私、何かしちゃったかな。心当たりがあるとすれば、・・・・え、まさか・・・エク、エクレア?
「・・・・・おい」
「っ、・・はっはいっ」
こ、声が、裏返った。だって、こんなにも睨まれたの、初めてだ。しかも、男の子。いや、ここは女子が少ないから当たり前なんだけど・・・・・どう、しよ・・う。なんだかぐるぐるして頭が回らない。鳥肌が、立ってきたかも。・・・エクレアは、渡したく、ない。だってすごくキャラメル味って気になるし、それに、すごく、並んだし・・・
「それ・・・苺味だぞ」
「っ、へっ!?」
バッと自分の掌にあるエクレアを見れば、ピンクのパッケージで苺とでかでかと書かれていた。
「・・・えええっ!?」
「いきなり、すまない。お前の後ろに並んでいたら、少し気になって・・・コレがキャラメルだ。」
何で、気がつかなかったんだろう。キャラメルは黄色で苺はピンクだからわかりやすい筈なのに。
「すすっすみません、わざわざありがとうございます・・・!」
最後って言ってたし、誰かきっと食べる人いるよね・・・・返品してこよう。
すごく、親切な人だぁ・・・!眉間にしわ寄ってるのは目が悪いからなのかな?前髪が掛かって見えづらいとか?それとも元々なのかな・・・勿体ないなぁ。
「・・・・・その、だな」
「っ!・・・はい」
「このキャラメルと、交換・・しないか?」
「・・・・・・・・、いち、ごと、です・・か?」
「あぁ。」
・・・・・もしかして、わざわざ、キャラメルエクレアを買ってくれたのかな・・・!・・・・、・・・この人、苺が好き、なのかな。だって、なんだか、物欲しげに見てる・・・気がする。
「・・・・・いいん、ですか?」
「あぁ。もしよかったら、だが・・・」
「ありがとう、ございます・・・!」
それじゃあ、そう言って私達は自分の手に持つエクレアを交換した。もう一度お礼を言えば、こちらこそと少し彼は笑った。優しいなぁ・・・・あ、眉間の・・・しわが・・・
「?何か、ついてるか・・・・?」
「!いっいえ・・・」
失礼かもしれないけど、笑った顔、すごく素敵なのにちょっとだけ勿体ないなって思った。
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