「おー・・・・すごい。秋花頭良かったんだー」
「なんとか国語でカバーできた感じかなーよかったよかった」


クラスの友達と一緒に四人で中間テストの結果を見に行けば、思ったより良かったので少しびっくりした。・・・・・十二位かぁ。でも数学は相変わらずやばいな。


「やっべえ私ギリギリだー」
「私もそんな感じー」
「別に半分より上ならいいんじゃない?」
「あ、関も結構いいじゃん。五十位以内。」
「あー、秋花と勉強してたからかも」
「・・・・・・あ」
「どうしたの?秋花」
「成績上位の方に、知り合いがいた」
「あ、本当?」


千反田える、六位。・・・・・すげぇちーちゃん。やっぱり才色兼備。


***********



部室に行く最中、ちーちゃんとあったので、中間テストの結果の事を話した。すごいね、と素直に感想を述べれば、恥ずかしそうにちーちゃんは否定した。


「そんな・・・・・・たまたまです
パターンが掴めたので。・・・・・・・それに」
「それに?」


恥ずかしそうなちーちゃんはまさに奥ゆかしいというか何と言うか。私だったら絶対褒められたら調子乗るね。めちゃくちゃ喜ぶもん。


「わたしは個々のパーツではなく全体のシステムを知りたいんです」
「・・・・・・そう、」


本音を言うと、どういう意味なのかはわからない。だけど、その答えは、なんだか好奇心旺盛なちーちゃんらしいなと思う。


「・・・・・・・あの、」
「ん?なぁに?」
「この前、パイナップルサンドで、挨拶できなくてすみませんでした。・・・・あの、少し、大事な話をしていたので、びっくりしてしまいまして・・・・・」


大事な、話。人に、聞かれたくないことって・・・・・・・すごい、気になる。だけど、折木にだから話したんだろうし。もしかしたら・・・・折木に関係する、・・・・いや、考えるのは止めよう。


「・・・・・・・・そっか、ううん、全然気にしてないよ。」
「本当にすみませんでした。早く謝ればよかったんですが・・・・」
「摩耶花達には内緒的な?」
「・・・・・・ハイ。すみません。」
「そっか。なんかごめんね?」
「いえ・・・・・あの、」
「ん?」


ちーちゃんが立ち止まったので、私も立ち止まれば、意を決したようにちーちゃんは大きな瞳をこちらに向けてきた。


「どうして、秋花さんは折木さんのことを急に苗字で呼ぶようになったのですか?」
「んー・・・・そんな、大した事じゃないよ?」
「私、気になります!・・・・あ、で、でも、言えない、ことでしたら言わなくてもいいです。・・・・私、出過ぎた事を言いましたね。すみません。」


しゅん、と項垂れたちーちゃんに私は焦って否定をした。ちーちゃんはおずおずと顔を上げたので、私は折木に話した理由を話すことにした。


「ただ、・・・・周りが、その、噂が立ってるみたいだから・・・・名前呼びだと。だから・・・・・うん。」
「そうだったんですか・・・・・折木さんは、何て?」
「そうか、って。別に気にしてないよ。」
「そうなんですか・・・・早く、噂が収まるといいですね。」
「いや、噂はもう、そんなに・・・・」
「?それじゃあ、何でまだ苗字で呼んでいらっしゃるんですか?」

少し、焦った。あぁ、私何でこんな嘘付いてるんだろう。馬鹿みたい。


「うーん・・・・また噂が立つのが嫌だから?」
「それは・・・・・・何だか、悲しいですね」
「悲しい?」
「はい、だって・・・・お二人は、仲がよろしいだけなのに、他人から言われただけでと思いまして・・・・っでも!折木さんと秋花さんは呼び方が変わっただけでは変わりませんよね!」


ニコリと晴れやかに笑ったちーちゃんを見て、私は苦笑した。
あぁ、何で私は、本当にこんな嘘をついてまで躍起になっているんだ。気持ちから離れたいだなんて


「・・・・・・そう、だね」


そんなの、簡単に出来る訳ないじゃないか。
人の気持ちは、そんなに簡単じゃない。



(曇りのち雨。)



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