眠い。視界にゆらゆらととちらつく桃色すら眠気を誘う。 月曜日の朝って本当に嫌だ。 ・・・・・・あれ、目の前にいるのって。 「・・・・ほーたろー・・・?」 「・・・・あぁ、小倉か。おはよう」 「おはよー・・・眠いねー・・・、」 目の前に見知った背中を見つけて近付けば、やはりそうだった。 彼、折木奉太郎は、私の近所に住む省エネ男子である。友達と言うよりも、奉太郎はいわば腐れ縁だ。 「あぁ・・・、本当に・・・」 くあ、と眠そうに欠伸をする奉太郎に釣られるように、私も一つ欠伸を零した。 くそう。春は尚更眠い・・・・。 「・・・・・あ、そうだ。この前私千反田さんとちょびっとだけどお話したよ」 「千反田と?」 「うん。ノートをね、拾ってくれたんだ。お礼に飴あげたらなんかすごい喜んでくれて。 千反田さんって、外見も可愛いけど性格も可愛いね」 「・・・・・・・・」 「おー何だ何だー?奉太郎に春かー?」 「冗談は顔だけにしとけ。あとその言い回し古い」 「うっさいです あー、もうどうせ中の下ですよー。ったくもー」 「・・・・・・下ではないだろ」 「何今の間・・・フォローが辛い」 「中の下ではない」 「えー・・・中間ド真ん中?なんか喜べないなー、 まぁ事実だし、ギリギリド真ん中。うむ、贅沢は言えないな」 うんうん、こればっかりは遺伝子とか関係あるし仕方ないだろう。 「あ、そういえば一時間目って数学だっ、」 「やーやーお二人さん!朝からお熱いね!!」 「・・・・け、」 ・・・・・どうやったら今の会話がお熱く聞こえたんだろうか。 ドンッと後ろから叩かれて少しよろけた。後ろを見れば、同中の福部里志がいた。声が少し大きく聞こえるのはテンションのせいなのか、それとも福さんが朝からうるさいだけなのか。どっちなんだろう 「福さんおはよー朝からテンション高いねー・・・」 「全くだな」 「君らがテンション低いだけだよ。 奉太郎はともかく、眠そうだね倉さん。」 「あー、月曜日だしねー・・・・、あと昨日アニメ見てた」 「そっか。あ、ねぇそういえば倉さんは何部に入ったの?」 「美術部と天体観測部。 あ、あと今漫研に入ろうか悩んでるんだー。でもそうすると三つになってカンヤ祭が大変だよねー・・・、福さんは?たしか古典部の他に入ってたよね?」 「僕は手芸部だよ!」 「おー、乙男。」 福さんってたまにやっぱりわからない。 まぁ、それは奉太郎もか。 (春、高校生になりました) |