「しっつこいっ!!」
「だったら止まれ!」

先程の黒い物体にストーカーされてるなう。いや、何でだちきしょう。今さっき会ったばかりだろう私達。
どうしよーかなー・・・大分距離はあるし、そんなに奴は早くない。だけど、こんな何処かも全くわからない場所であまり動くのは得策ではないだろう。
道がわからなくなっては困る。下手したら遭難なんてこともありえるし。

これ以上遠くにはいけない。


「・・・・・っもう!」

手袋がないから、仕方ないけどとりあえず、

「・・・・ってて」

親指を噛んで、血で錬成陣を描く。
んー、懐かしい。基本手袋だったから。


「殺しはしないよ」
「っ・・うがあぁああ!!!」

バチバチッと鳴り響いて、地面は音を立ててひび割れてゆく。

「食べられるのはごめんだからね」

よし、気を失ったみたいだ。
うん、これで暫く動けないだろう。地面を使ってドーム上で囲んでるし。伸びてる間にずらかろーっと・・・

「トドメ、刺さないのか?」
「・・・この人の、お知り合い?」

・・・・・あぁ、もう次から次へと。何で話し掛けてくるのかな。
こっちは今混乱しているんだ。考える時間ぐらい寄越せ。

「いや?違う。
ただの通りすがりのクールナイスガイなイケメン純潔天使様だ」
「へー。そう、さよなら。残念なイケメンくん」
「誰が残念だ。いきなり失礼な奴だな」
「人が危ない目に遭っているというのに、ただ黙って傍観し続けていた貴方に言われたくないな。」
「・・・・・気づいてたのか」

えぇ。とっても目障りでした、とニコリと笑って言えば、そうか、とニヤリと笑った。

「・・・・・ねぇ、ここって魔術とかってある訳?」
「あ?」
「あーいや、手っ取り早く・・・
質問をやっぱり変える。
コイツって、何なんですか?」

伸びているコイツに指を指して、薄い茶色の髪のイケメンくんに目線を合わす。・・・・・うん、黙ってればイケメンだなーこの人。

「・・・・純魔族だ。」

まぞく?魔族って事は、魔法的な感じ?また二次元かな。うーあー嫌だ嫌だーまぁ髪は黒くなった点については嬉しいかな

「・・・・何だ、お前?人間、なのか?・・・いや、違うだろう。反応を見た所、混血でもないし・・・・
・・・・何故、そんな事を聞く?」
「はぁ、まぁ一応人間ですが。
私、知らないんで。この世界のこと。」
「・・・・さっきから何言ってんだ?お前。うっわー、やべー奴に声掛けちまったな」
「奇遇だね、私もヤバイ奴に声掛けられちまったなーって最初に思いましたよ」
「あ?何言ってんだあんなにかっこよく颯爽と」
「もういい。さようなら。」

何だろう、この人と話してると疲れるな。こう・・・・何だ。デジャヴ・・・、・・・・あぁ、エドと初めて会った時だ。
まぁ、こんなに図々しくはなかったけど。

「・・・・・・ねぇ、何でついて来るの」
「こっちのセリフだ。俺もこっちなんだよ。
・・・・それはそうと、お前何しにここに来た?」
「・・・・別に。強いて言うなら錬成されたみたいで。」
「・・・・・あ?」
「いつの間にか室内にいて、襲い掛かられたから逃げ出しただけ。別に、関係ないでしょう?
貴方、知り合い以下の赤の他人に何なの?馴れ馴れしいというより図々しい。」

何でこんなにコイツは私に興味を持っているんだ。
錬金術が珍しかったのか?いやでも魔族、ってのがあるんなら魔術はあるみたいだし。それとも変換が違うのかな?「まぞく」って。
「・・・・・あ、ねぇ、どこかに金とか売れる所ない?」
「きん?」
「そう。金。」

違法だけど仕方ない。この世界のお金を手に入れなければ。
まぁ、ここ、多分違う世界だから大丈夫だけれども。

「・・・・・この辺にはないが」
「あー、じゃあー・・・質屋とか」
「・・・・・・・お前、金に困ってるのか」
「・・・・まぁ、ハイ。一文無しです「きん」の方はあるんですけど」
「・・・・・・・・・」

まぁ、たしかにお金はないのにって話だよな。おかしいよねーあはは。・・・あーあ、黙り込んじゃった。

「・・・・あー、まぁいいや。街に出たらどうにかなるなる。さよーならー」
「おい」

まだ何かあるのかよ。コイツめんどくさい。

「・・・・・・・何?」
「お前、俺の下僕になれ」



(・・・・・下僕って・・・・私?)
(そうだ。)

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