兄弟なのにこんな感情を持つなんて思ってもなかったことで初めは戸惑った。
「雪男、これな‥」
「どうしたの兄さん?」
一応先生である弟に勉強の分からないところを聞く。だけど、その声は妙に緊張で強張っていた。
雪男は普段通りに応えてくれていて、自分だけがこんなに平然でいられないなんて‥情けない。
(立場ねぇな‥)
「兄さん?」
「あ?あぁ、えっとどこまでやったんだ」
ぼーっとしていた俺を心配してのぞき見る間近な雪男の唇に思わず口づけた。
一瞬目を見開いたけど、すぐに目を細めて笑む雪男に顔が熱くなった。
「めずらしく積極的だね?」
「ち、ちげーよ!雪男が顔近付けるのが悪いんだろ!!」
「そっか、じゃあ‥」
そう言いながら鼻先まで顔を近付けてくる雪男にさらに顔が熱くなる。
「ゆ、きっ」
今度は雪男から口づけてくる。
「何するんだよ!?」
「当たっただけだよ」
「くそっ」
(絶対に計画的だ)
そう思いながらも怒れなかった。だって、雪男があまりにも嬉しそうに笑うから、俺もつられて笑った。
Fin..
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