なんとFirst nameは、飛んできたソウルの柄の部分を上手く掴み難なくキャッチしたのだ。
その反動により少しだけ体が後ろ下がるも、ソウルの暴走は止まり、今までずっと響いていた墓石を切り裂く凄まじい音が静まった。
First nameはつかまえたソウルを一、二度軽やかに回してから、サクリと地面に突き刺した。
「よいしょっと。」
そこにいたFirst nameを省く一同は驚きを隠せない。もちろん、当のソウルもである。
目の前の少女が今、魔女狩りを素手で止めるなどというあり得ない危険行為を一瞬にしてこなしてしまった。
そんな光景を目の当たりにすれば仰天するのは当たり前だろう。
「いやぁ、大変だったね。大丈夫?」
「First nameが止めてなかったら今頃どこまでもすっとんで行ってたな」
「……え…?」
あまりの事に、ソウルは感謝の言葉すら出なかった。
しかしその一部始終を見ていたマカもブラック☆スターも、椿も、シドでさえもそれは同じだった。
「さて、補習授業再開しますか!」
固まったまま動かない皆を見て、促すようにFirst nameは言う。そのおかげで全員がはっとなった。
「も、もう!!ソウルのせいだからね!!ちゃんとしてよ!!バカー!!」
「はぁ!?ざけんな!!なんでオレのせいなんだよ!!バカかお前!!イカレてんじゃねぇの!?死ね!!」
「し…死ね!?ヒドイ!!お前が死ね!!
「うるせェ焼け死ね」
「うすうす気が付いてはいたさ!!お前らが俺様のBIGな魂を狙っていたのをな!!ひゃっはっは!」
魔女狩りの失敗が原因で喧嘩を始めてしまうマカとソウル。
ブラック☆スターは二人の魔女狩りでやられそうになった事を思い出し、若干冷や汗をかきながらもいつもの調子で笑っていた。
First nameは武器のまま眠そうに欠伸をしている。戦いの場という雰囲気ではとても無い。
First nameと椿はそんなばらばらな皆をまとめようとして必死だった。
そんな中シドは、魔女狩りの威力に、そして魔女狩りを受け止めた新入生に驚愕していた。
まだまだ若い年齢にしてあのような技が繰り出せるとは。
そしてFirst nameがした人間業とは思えない行為、バランス感覚や視力、腕力などもなければ到底出来はしないはずなのだ。
そんなシドをよそに、マカたちは再び攻撃を始めた。
「私は大技なんか狙わずにシンプルにいきたかったのに」
地面を蹴り、シドに向かって鎌を大きく振りかぶる。
「COOLな男はバクチ人生だろが!!」
斬撃音がした。
シドに向かって構えたソウルを思い切り振れば、シドに当たる、はずだった。
しかしマカの目前にいたはずのシドが、次の瞬間姿を消した。
「え!消えた!?」
「違う…マカ!地面の下に潜られてる!」
最初にシドが現れた時、それは地中からだった事をFirst nameは思い出し、マカに向かって叫んだ。
「地面!?」
シドが潜った地面へと目を向ける。あちらこちらでうごめく音が聞こえるところ、地面の中を素早く移動しているようだ。
「マカ、気をつけて。どこから出てくるか分からないから」
「うん…!」
First nameが足元に神経を集中させる。マカも、そしてブラック☆スターもそれにならった。