「マカ!!」
的に捕らえられてしまった彼女は、その青い顔の男をキッと睨んだ。
「あれがシド先生…?」
逆さまになった状態のマカは足を掴まれていて、これ以上の身動きが取れない。
「コワイカ?」
シドはそう言うと、先端が尖った木の破片をマカに向けて突き刺そうとした。
「コワイダロ!」
「え……っ?」
突然の出来事にマカは何が起こっているのか理解できないでいる。
「マカ!」
First nameが思わず彼女の名を呼んだ。しかしそれよりも早く出て行った者がいた。
ズジャッという音と共に、間一髪でシドとマカの間に鎌に姿を変えたソウルが割り込む。
その際にシドがマカの足を放し、マカは戦闘態勢に入る事が出来た。
「ありがとう、助かった!」
「おう!!」
マカがシドから解放された事に安心したFirst nameとFirst nameは、すぐにシドを見据え、自分達も戦闘態勢に構えた。
「マカ。ソウル。ブラック☆スター。椿。おはよう、こんにちわ、こんばんわ。お久しぶりDEATH(死)。―…俺はあいさつをかかさない男だった」
墓石を軽々と持ち上げながらシドは言った。
「椿!!俺たちもいくぜ!!」
「はい!」
「First name、私達も!」
「おう!」
マカとソウルにならい、椿とFirst nameも武器に変身する。
「ゾンビはいいぞ!色んな事がどうでもよくなる。授業を始めるぞ。俺はチャイム通り授業を開始する男だった」
「いいだろう!!久しぶりに見せてやる。俺様の神憑った授業態度をな!!」
「こっちは退学がかかってんだ!!うけてやるよ!!てめェーの腐りかけで賞味期限切れの授業を!!」
「無駄な努力はやめろ。どうせいつか死ぬんだ。ゾンビになれば“死”へのプレッシャーが無くなる。恐怖から逃れられるんだぞ」
「そんなの間違ってる!!先生はそんな事言う人じゃなかった!!」
「聞くより習え!!」
シドは墓を持ち上げた自分の墓石を、マカに向かって思い切り振りかぶった。
「とりあえず死ね!」
シドがいきなり攻撃を仕掛けて来たため、マカは迎撃が間に合わない。
「!!」
「バカ野郎!!何ボケっとしてんだよ!!」
「マカ!危ない!!」
ソウルの叫び声を聞きながら、First nameはFirst nameを構えると咄嗟にマカとシドの間に割って入った。
マカの目の前まで迫ってきているシドの墓を槍の柄で食い止める。それとほぼ同時に、ブラック☆スターもシドの墓を足でガードする。
シドの攻撃はマカに当たらずにすんだ。
「俺はけっこうせっかち!!そんな男だったぁあ!!」
シドが墓石を振り回した。それと道連れにがっちりと墓石を食い止めていたFirst nameとブラック☆スター、そして二人に庇われていたマカも思い切り振り飛ばされる。
「あわわ」
「…っ!」
振り飛ばされた職人三人は、着地をして何とか態勢を保つ。
敵の目前で転ぶ事は避けなければならない。態勢を立て直すのに時間を要してしまっては、相手に攻撃してくださいと言っているようなものだから。
「ゴメン、First name、ブラック☆スター…」
「ううん、マカが無事で良かった」
「お前小物、俺大物。気にすんな!!」
マカは自分を助けに入った二人を気にしながら、頬に付いた土を拭い、再びシドを睨んだ。