「ハロハロ死神様?鎌職人マカです」
「暗器職人ブラック☆スターだ」
「槍職人のFirst nameです」


大きな鏡に死神様が現れた。
First nameは映し出された死神様を見上げる。首を真上に向けて見上げなければ死神様の顔が見えないのだ。


「はいは〜い、ちっすっ!うすっ!!うい〜すっ!!おつかれさ〜ん」
「はい」
「こんにちわ」
「おうー」

皆がそれぞれ死神様に挨拶をする。
気さくに挨拶する者もいれば、面倒臭そうにする者もいた。
だが死神様はあまり気にしない様子であった。

「あ、First nameちゃんにFirst name君!ちゃんと来れたんだね」
「はい!」
「おう、まあな」

精神的に色々疲れたけど、と心の中で二人の声が綺麗にはもった。



「で、用って何だ?」

ソウルが死神様に問いかける。

「うん。君たちにちとうけてもらいたいもんがあってね」

死神様の言葉を聞き、全員が首を傾げた。
うけてもらいたい、という事は、特別な授業か何かだろうか。
そんな事を考えるも、死神様の考える事にはとんと見当も付かない。

そんな面々に死神様は衝撃の言葉を発した。



「補習」



死神様は語尾にハートマークでも付きそうな軽いテンションだった。

「!?」
「エエ!?補習って、おバカがうけるあの“補習”?」
「やだよ!!最強のデスサイズになる俺がうけるもんじゃねェ!!」
「つーか、何で俺たちもなんだよ!?」

死神様の一言でその場は一気にざわめいた。抗議の声も上がる中、死神様は淡々と話す。

「君たち“職人”と“武器”の義務は?」
「“99個の人間の魂”と“1個の魔女の魂”を武器に食べさせ、死神様の武器“デスサイズ”を造る事です!」

死武専の中でも成績がいいマカは、即座に死神様の質問に正確な答えを返した。

「うん!でも君たちが今日現在で集めた魂!0個じゃん」
「………………!!」
「「入学早々補習なんて…!」」
「ひゃっはっは」
「どうもすみません…」

それは今ここにいる生徒達にとってはとても痛い言葉だったが本当のことなので、飲み込むしかなかった。
マカとソウルは、まさに開いた口が塞がらないといった状態である。ちゃんと頑張っていたつもりだったのに何故こんな事に、という気持ちが嫌でも伝わってきた。
First nameとFirst nameもがっくりと地面に膝をつき、口から漏れるのは「あああ」などの意味の分からないものばかりだ。
椿は先程からずっと平謝りで謝っている。
ブラック☆スターは突きつけられた事実がショックではないのだろうか。ひたすら笑っている。

「でっ、その補習の内容なんだけど…。もうウワサで聞いてたりする?この前まで…死武専の教師だったシド先生の話…。ゾンビ化して生徒を襲ってるって話をさ」
「ほれ!みろ!俺の話本当だろ?」
「そんな話があったの?」

今日転入してきたばかりのFirst nameとFirst nameはそんな話は初耳だ。
ソウルの言葉に疑問を返す。

「シド先生ってのは何で死んじまったんだ?」
「なんか、みけんに自由の女神が刺さったからとか聞きましたけど…」
「…そんな死に方する人いるんだ…。すごいね、死武専って」
「でもなんで?けっこういい先生だったよ…」

それから死神様が言うには、シドはゾンビになってから、死の恐怖から開放されて、生徒にも自分と同じ経験をさせてやると言い、このような事態になっているらしい。
事情を聞くとFirst nameは呆れたように肩を落とした。

「なんだそりゃ。迷惑な奴だな」
「しかもシド先生をゾンビ化させた何者かが裏で手を引いているのは確かだね」
「O・K!まかせろよダンナ。要するにそいつの魂をとってくりゃいいんだな」
「はい、そ・ゆ・こと。別に脅すわけじゃないけど…」

付け加えて何か言おうとする死神様。皆が耳を傾けた。
しかし次の言葉は、信じられないようなものだった。

「もしこの補習を落とすような事があったら、みんな仲良く―…退学ね!」


「えええ!!?」

頭が付いていかない。否、当たり前だろう。

「ほんじゃまぁ応援なんかしちゃったりするんでガンバっちに〜」


驚愕したと同時に、ずんと重く圧し掛かるプレッシャー、そして疑問。
何で退学なんだ。
きっとそこにいた誰もがそう思ったに違いない。




「た……た……た……た……」




(退学うっ!?)





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