教室を出てドアを閉めると、マカはFirst nameとFirst nameに話し始めた。

「自己紹介が遅くなったけど、私はマカ・アルバーンっていうの、鎌職人よ。First nameちゃん、First name君、これからよろしくね!」
「俺はソウル・イーター、魔鎌だ。よろしくな」
「うん、よろしくね」
「おう」

親しげに接してくれるマカ達に、First nameは照れたように笑って返した。First nameも、短い返事ではあったがその表情は心なしか嬉しそうなものだ。



「ねえ、マカちゃん…」
「マカでいいよ。私もFirst nameって呼ぶからさ」
「本当?じゃあマカ、死神様って普段死武専のどこにいるの?」
「デスルームって所だよ。まあ普通の学校で言えば校長室みたいなものじゃないかな」
「へえ〜、そうなんだ」


女の子は女の子同士、First nameとマカは、First nameとソウルより前を歩いている。
一方のFirst nameとソウルは、その後ろに着いて行くような形で歩いていた。


「なあソウル」
「ん?」
「お前達って今魂何個くらい集まった?」


何気無しに問いかけたつもりのFirst nameだったが、ソウルはその質問をされた瞬間大きく反応した。


「…え?え?もしかして聞いちゃいけねぇ事だったか?」


墓穴を掘ったのかと心配になるFirst nameに、ソウルは別に良いんだと返す。どう見ても良さそうには見えないが。

ソウルはがっかりしたような、残念なような、そんな顔で話した。

「…この間あと魔女の魂1個取ればデスサイズになれるところだったんだけどよ……失敗して猫の魂取っちまって今まで集めた分は没収されちまった」
「そうなのか!?」


死神様が言っていたのはこのコンビだったのか。First nameはそう思った。それと同時にやはり自分は墓穴を掘っていたのだと気付くと、これからは何気無い一言にも気をつけなければと反省するのだった。
マカがこの会話を聞いていなかったのが唯一の救いだろう。


「そういうお前達はどうなんだよ?」


ソウルがそう聞き返してきたため、今度はFirst nameが冷や汗をかく番だった。


「……いやぁ〜、実は俺達もつい最近全部没収されまして…」
「マジでか!?」

「まあソウルたちに比べりゃ取ってた魂の数とか全然少なかったからアレだったんだけど…」
「………俺達って…」
「…何なんだろうな…」


取った魂、取られちゃって…。

溜め息を吐きながら、First nameは前を歩く自分のパートナーに目を向ける。
マカとFirst nameはさっきの間に大分仲良くなったらしく、好きな音楽の話や好きな映画の話、料理の話など、他愛も無い話で盛り上がっているみたいだった。

ここに来る前まで不安がっていた自分たちとは嘘のように、すぐに友達も出来、すぐに打ち解けられた事にFirst nameもFirst nameも正直驚いていた。
改めて思えば、今自分達は死武専の生徒達と普通に話せているのだ。
友達なんて出来るのかと心配していたが、それどころか、こんな風に人と接するようになれるなんて。


(人の親切心に触れたのは、大分久しぶりだな…。)


First nameもFirst nameも、随分長い期間、お互い以外に心を開かず生きてきた。
それもあってか、周りから何かをしてもらう事など知らず、ここまで来たのだ。


裏切りという行為をする人間に、心の内を知ってもらいたいなどと、思ったこともなかった。
しかし今この瞬間の気持ちは一体なんなのだろう。

優しくされて嬉しかった?思い出させてくれて泣きたくなった?

どちらも若干違うような、けれどハズレでもないような。
不思議な感覚だった。








「着いたよ。ここがデスルーム」

マカは大きな扉の前で立ち止まると、コンコンとノックをした。
失礼しまーすと言って、その重い扉を開ける。
First nameとFirst nameにとってその部屋の中はとても不思議な空間だった。入って最初に、大空が果てしなく続いているかのような景色が目に飛び込んでくる。それは、部屋の狭さを感じさせない。
そして目の前にはギロチンがまっすぐ一列に並んでいた。


「わー…」
「何これ。」

「さ、行くよー」


マカとソウルは何の躊躇いも無くそのギロチンの下を通っていく。
これはいきなり落ちてきたりしないのだろうかと恐る恐るにマカ達を見ていたFirst nameとFirst nameも、戸惑いながらもそれに着いて行った。



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