暗殺チームの隠れ家。その一室、オレの部屋には鏡が幾つか壁に掛かっている。
襲撃された時の反撃の要であるし完全なるプライベート空間でもある。
「マン・イン・ザ・ミラー」が生きる部屋と言う訳だ。
その鏡の空間に同居者が一人増えた。
写り込んだベッドに持ち込みの掛け布団を抱き締めてゴロゴロと転がる幼い娘、×××。

「早く寝ろ」
「ねむくないよ」

それはもっともだ。
ついさっきまで寝てたしな。

「人間は夜寝るんだよ」
「よる?」
「窓の外、暗いだろ。暗いから夜だ」

鏡越しの窓の外は暗闇に浸されている。
普通の人は明日の為に寝ている時間だ。
オレも寝たい。
これから暫くは仕事が無いから惰眠を貪っていても誰も咎めやしない。
そこら辺に関して煩いプロシュートは朝から仕事らしいから問題無し。
リーダーは仕事さえきちんとこなせばオフに関して口出ししない主義だしな。
他のメンバーも個人主義の集まりなので好き勝手だ。

「お前が寝なくてもオレが寝るからな。ほら、どけ」
「あー」

×××を壁側に寄せて空いた空間に寝転ぶ。

「誰かがそこに映ったら起こせ」
「イルーゾォがねるなら、わたしもねる」
「じゃあお前が起きた時にまだオレが寝てたら起こせ」
「わかった」

体勢を整えていた時に不意に腕を取られて横を見る。
二の腕辺りに×××が頭を乗せた。いわゆる腕枕というやつだ。

「このまま寝るつもりか?」
「だめ?」
「腕が痺れるだろ」
「どっちかがねるまで、だめ?」
「……分かったよ」

まあ、大人しく寝てくれるならいいか。

「おやすみなさい」
「……ああ」

×××が目を閉じたのを確認してオレも目を閉じる。
これからどうなるのか。障害を考えてない訳じゃ無いが……。
責任はオレにある。こいつは選んだ。
だったら何とかするのはオレしかいない。
何時かはこいつの輝きが失われてしまう。
泥水のように、濁って濁って最後には何も見えなくなるか。

……今は眠い。寝よう。
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