「ん……んー?」

なにか不思議。おかしい?私はベッドで寝てた筈なのに。ベッドが無くなってて壁が土?床が地面?周りを見ても何も無い。お外?ううん、違うわ。見たことの無い夜の暗闇じゃなくっていつも見てる閉じた空間の暗闇だもの。じゃあどうして?私のお部屋は石造りの地下室だったわ。咲夜が移動させたのかしら?だったらどこに?あそこ以上に私を閉じ込めるのにいい場所を見つけたの?

「ありえない……」

いつ離れていくか分からないのに手を離すなんて馬鹿な真似、姉様はしない。
……じゃあ、ここはどこ?
ぼろぼろの土の壁を壊して確かめてもいいかなと思ったけど、もし壁の向こう側がお外で晴れていたら私は多分死んじゃうからとりあえず止めにした。
太陽なんて見たこと無いけど。お月様さえ無いけどね。
でも、ずっとここに居るの?……嫌だな。前のところの方がいいよ。出れないかな。
……出してよ、姉様。

見渡してみるとどうやらせいぜい一部屋分くらいの空間らしい。広さは私の部屋と殆ど同じで、高さは少し低い。
人間だったら多分、暗すぎて見えないと思うけど。それでもって狂っちゃうかもね。
それにしてもどうしよう?
本当に何にも無い。
ベッドも絵本もお人形もおやつもご飯も、ドアもなーんにも、ない。
少しなら大丈夫だけど、ずっとこのままだったら死んじゃうんだろうな。それとも死ぬより先に全部壊して人間(居るならだけど)を殺して食べるかも?襲ったこと無いけど……。

「―――、―――!」

声?

「姉様?それとも姉様のお友達?それとも咲夜?」

とんとん、と指先で土の壁を叩いてみる。ぱらぱらと土塊が落ちる。

「ねえ、どうして私をこんなところに閉じ込めたの?姉様がそう言ったの?私をここに閉じ込めろって!ねえ!」
「―――!」
「聞こえないよ!もっと大きく喋ってくれないと!」

ばん!と叩くと今までで一番酷く壁が崩れた。能力を使うまでもない。

「出して!ここから出してよ!あそこに閉じ込められてるのはいいけど、ここでずっと一人は嫌っ!」

手を振るう度に壁に亀裂が走って、ついに―――向こう側が見えた。
嗅ぎ慣れた血の匂いがして、私の足下に土砂と人間の指が落ちた。

「………えっ?」

目の前には知らない人間(咲夜と同じだから人間だと思う)と床に倒れている、これも多分人間。倒れてる方は傷だらけだけど。
本当にここ、どこ?
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