僕は僕のハイエロファントグリーンが見えなければ全てを理解されないと思っている。
「あ、仲間発見」
ケラケラと笑いながら近付いてきたのは普段相対するのならば苦手な部類に入るような人だった。
まあ、要するにパーソナルサークルにズカズカと入り込んでくるようなお節介焼きで、そのくせいつの間にか居なくなって、それでいて他人に邪険にされないようなずるい人。
そんな人だった。
「花京院典明、だっけ。友達になろう」
何で、僕の名前……
「珍しいしカッコいいから覚えてた。ほら、合同学習の時さ、出席取ってた時からずっと狙ってたんだ」
君の……名前は?
「うん?ああ、忘れてた。×××だよ。×××○○。苗字でも名前でも好きな方でどうぞ」
……○○
「なんだい」
君も、持ってるのか
「ああ」
不思議な気分だった。
ただ遠かったものが今隣にあるというのは、とても嬉しかった。
久しぶりに嬉しいという感情を思い出して、泣きたくなって、いつの間にかぼろぼろと涙が流れていた。
「なんだ、寂しかったのか」
寂しかったさ、この世界でいつもたった一人だったんだ。誰も僕の事なんて知らなかったんだ、分かってくれなかったんだ。
道に迷った子供が親を見つけた時のように○○に縋り付いてただひたすら泣いた。
十数年のひとりぼっちを清算するように。
「じゃあこれからは二人っきりか。いいね、ワクワクする」
君にはいつも周りに人が居たのに?
「そう見えてた?これでも能力に気付いてからずっと探し回ってたんだけど。隣街とか。日本中探して見つからなかったら外国まで行く予定まで立ててさ」
君は僕を探していたのか
「そうそう。近すぎて気付かなかった。ごめん」
いいよ、見つけてくれたんだから。
黄昏色の空の下で、今日、僕は初めて友達を見つけた。