「電波で繋がれた関係」


私と貴方。
私達の関係を一言で表現するならば、ただの"他人"と言ったところだろうか。
数回ほど顔を会わせて対話を交えた程度の仲でしかない。お互いの嫌いなモノや、趣味さえ、知らない。
そんな私達は、辛うじて見えない糸で繋がれているのである。

「もしもし。」

電子化された貴方の声が、私の耳を伝い、脳に響く。


今思えば、不思議なことだと思う。

直接会ってもいないのに、貴方の声が聴こえること。
そんな事が、当たり前になってしまっていること。
私が、他人である貴方の事を、好きになってしまったこと。

見えない糸で繋がれている以上、私達がまた廻り会うだなんて、もはや不可能だと、頭では判っている。
判っているのだ。
でも、もう少しだけ、夢を見させてほしい。

"貴方を好き"

この一言を、いつになれば、貴方に伝えられるのだろう。

「こんばんは。」

そして私は、少し強張りながら、その音に応える。



fin.
電話のお話。
お好きなCPに当てはめて妄想してあげてください。

ここまで読んでくださいましてありがとうございました!


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