「机上の空論と私」


人間という生き物は他の生物よりも卓越した豊かな感情を持つ生き物だが、他の生物と子孫繁栄させようとする本能的なソレと相似した感情(人はその感情を「恋愛感情」と呼ぶ)は、私から言わせれば人間が抱く感情の中で一番厄介な感情だと思っている。何故なら(私が経験した感想のみで語らせてもらうが)その感情にふけてしまいあらゆる動作や作業をする際にそれによって妨げられてしまうからである。脳裏が人間の感情ごときに支配されてしまい何も手につけないだなんて、私から見れば滑稽としか言い様がない。なんて馬鹿馬鹿しいのだろう。それ一つで人間は腑抜けな廃人と化してしまうだなんて、つくづく人間とは滑稽な生き物だと、周りの盛りのついた者達を見る度に、以前まではそう思っていた。

ある心理学者は言った。
人間はある一定の人間に恋愛感情を抱き始めると「もしかしたらあの人も自分のことを好きなのではないのだろうか」といった、所謂"思い込み"をするのだと。
私はこの話を聞いて、より一層人間が滑稽に見えてしまった。自分の都合の良いように物事を考えて有りもしない物事に期待しているだなんて、なんて自己中心的なのだろう。と、私自身がその「人間」である事を棚に上げて、それを軽蔑の眼でしか見ずにいた。人間とは実に滑稽な生き物だと、やはり以前の私はそう思っていたのである。

上記の私の戯言は偏見が入り交じった机上の空論でしかないが、今の私は上記の「滑稽な生き物」でしかない事を痛感しては、酷いもどかしさが増す一方であった。

私は滑稽な生き物だ。


「おい、なぁ、…」

ああ、私に話しかけないでください。私が腐ってしまうから。

「ゲン」

ああ、私の名前を呼ばないでください。私が腐敗してしまうから。

「…どうかしたのか?」

ああ、私の心配なんてしないでください。私が更に酷く滑稽な生き物になってしまうから。


私が述べた机上の空論は、私の首を締め付けてきた。

抱いてはいけない感情を
抱きたくなかった感情を

ああ、私は
貴方に恋をしているのだな、と。


fin.
無駄に長かった…!
すごくシリアスな感じになってしまいました。そしてゲンさんが電波…推敲したいです。
ここまで読んでくださり有難うございました!

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