「俺流の草食系男子攻略法」


お前が俺を好きだなんて事は
とっくに分かってんだ、バーカ


俺流の草食系男子攻略法


シンオウ地方で唯一俺と同性で同世代のアイツ、まぁ、ヒョウタの事なんだけど。
俺から言わせるとちょっと古い呼び方なんだが、アイツを一言で表すと「草食系」なんだよな。シャイボーイって奴だ。
男友達なんかとは平気で笑い合えるのに、異性や好きな人の前だとなかなか喋れずに縮こまるタイプ。
正直な所、俺が女の子にこんな反応されたらたまらないね。なんせ女の子らしいと思うし、バカ丸出しで野郎にアタック(笑)してる女なんかよりは頭良いイメージがあるんだ。
ただ、男だったら別の話。
男ならガツガツ攻めて女をゲットすべき。例えその行為で玉砕してもだ。だってさ、何もせずに後悔したくなくね?何も進歩せずに狙っていた女が他の男に取られるって悲しすぎね?まぁ、俺の過去に何かがあったからこういう事言ってる訳じゃないんだけどさ。あ、本当だかんな?信じろよ?
そしてそんな俺は今、その「草食系」に好意を持たれているわけだ。

それにしても、シャイボの好き避けって分かりやすいのな。見てて「必死で可愛いな、」なんて思えるくらいに。
例えば、アイツに声をかけるとしよう。

「なぁ、」

「…、なんですか」

その声は冷たい。目線すら合わせずにアイツは言う。嫌われているワケではない。もし目線を合わせたら、上がってしまい何も喋れなくなってしまうから、らしい。
そんなアイツに俺は意地悪をする。

「なんで目を見て話さないんだ?」

「え…」

この時一瞬だけ目が合うのだが、すぐに目を反らされてしまう。そして「えぇと、それは…」なんて言い訳をしようとしているうちに、俯いたまま耳まで赤くしてニヤニヤするんだ。その表情に嫌らしさなんて一つもなくて、すごく、かわいい。まぁ、男に対して「かわいい」だなんて変なんだけどな。

アイツはそんな態度や表情を俺にしか見せない。
ただ、たまには他の人と同じように接してほしいときがある。

そんな事を思ってしまったのは、自然とアイツを目で追っていたとき。

「…あれ、」

ナタネと会話をしていたアイツに違和感を感じた。

アイツ、いつから異性と笑いながら喋るようになったんだ?
いつから、頭を撫でるようなことができるようになったんだ?

「…、」

ただ、その空気をぶち壊したかった。無意識にその事を願っていた。

これは、俺のエゴ。
醜いであろう、嫉妬。
そして俺は自覚した。


お前が俺を好きだなんて事は
とっくに分かってんだ、バーカ

でも

俺がお前を好きだなんて事も
とっくに分かってたんだよバカ



fin.
すれ違い伝票。甘酸っぱい。
シャイなヒョウタって可愛いなぁと思いまして。

ここまで読んでいただき有難うございました!


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