「あっ、綱吉お兄ちゃんだ!」
「なまえに、フラン。はは、久しぶりだね」

近所のやさしいお兄ちゃん。
「ちょーしに乗ってんじゃーねーぞー」
「もうっ、フラン!どうして綱吉お兄ちゃんにはそうなのっ」


「はは、大丈夫だよ」
フランの頭にぽんと手を置いた。

「君からなまえちゃんを取るなんて真似はしないから」
「…子供あつかいすんじゃねーですよー…」

私はよく分からなかったけれど、フランがとても悔しそうな顔をしていたのを覚えている。





「日本人…?」

ツンツンした髪、茶色の髪…。


「ひょっとして…綱吉お兄ちゃん?」
「え、ひょっとしてなまえ…?」
「わー、綱吉お兄ちゃんだっ!久しぶりー」
「そうだね、何年ぶりかな」
「ところで綱吉お兄ちゃん、どうして此処に?」
「ん?このお家の人とお話があってね。…なまえこそどうして此処に…」
「…て」
「え?」
「フランを…助けて…、綱吉お兄ちゃん」
「フランって…」



ピピピピピピピ…



『もしもし』
『ああ、綱吉様ですか。そろそろいらっしゃる頃かと思いまして…』
『悪いんだけど明日でいい?』
『…は?』
『ごめんね、急用ができちゃった。じゃあね』


プツン。



「もう遅いし、詳しい事は俺ん家で聞くよ。来てくれる?」
「うん…」









「うん、お母さん?うん。こっちで綱吉お兄ちゃんに会ってね。そうそう近所に居た…。うん、フランを助ける手助けをしてくれるって…うん、大丈夫。じゃあまた…」

プツン。


「それにしても、フランがそんな境遇にあったとはね」
綱吉お兄ちゃんは苦笑いする。

「私、フランを助けたいの」
「うん、助けよう」
「本当…助けられる?」
「勿論。ボンゴレの名にかけて」
「ボンゴレ…?」
「うん、俺も一応マフィアでね」
「綱吉お兄ちゃんが…!?」
「俺もなりたくなかったけどね」
「……」
「怖い?」
「全然、綱吉お兄ちゃんだし」
「そう。ありがとう」


そう言って綱吉お兄ちゃんは私を撫でた。
ほら、綱吉お兄ちゃんは綱吉お兄ちゃんだ。









『ようこそいらっしゃいました、綱吉様』
『うん』
『失礼ですが、後ろの女性は…』
『俺の秘書。手ぇ出さないでね』
『はい』









『こんにちは、綱吉様』

フランのお父さんだ。

『うん。今日は同盟の話だっけ』
『はい、ボンゴレと同盟を組めるとは私共にとってとても光栄な事で…』
『あれなかった事にして』
『はい。…は?』


『いやー、ごめんね?』
『ま、待って下さい綱吉様!お話を…』
『俺は話なんかないよ。話があるのは…彼女だ』


私はバッと変装の為身に付けていた物を外した。


「昨日ぶりですね。…もう一度言います。フランを返して」

「貴様…。綱吉様、違うんです。彼女の言ってる事は…」
「彼女は俺の友人なんだ。…フランをさっさと返して?でないと、このファミリーを潰すよ?」
「…あ…」
フランのお父さんはその場に崩れた。







「フラン!」
扉を開けるとフランがいた。
「なまえ!?どうして…」
「迎えに来たよ。綱吉お兄ちゃんに助けてもらった」
「久しぶり、フラン」
「……」
フランはちょっと悔しそうな顔をして。

「いちおー…お礼言っときますー」
「どういたしまして」
「フラン」
「はいー…」
「帰ろう」




私達の家へ。


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