「もしも、フランが私をよんだらね、どんなに離れていても私はフランの所に行くよ」
「本当?なまえちゃん」
「本当本当。じゃあ、ゆびきりげんまんしよう」
小指をきゅっと絡めた。
「「ゆーびきーりげーんまーん嘘つーいたーら針千本のーますっ、ゆびきった!」」
「ねぇ、フラン。だからね、私達はずっと一緒だよ」
*
「ミーのお父さんは星になった筈ですがー」
フランは怪訝な顔でその人を見た。
「しかし、現に此処にいるだろう?」
「嘘ついてんじゃねーよ」
「嘘ではないよ」
ぴっ、と男が出したのはDNA鑑定の結果。
「先日フランの髪をこっそり頂戴してね」
「……!」
ギッ、とフランは男を睨んだ。
「そう殺気をむけるな。実の父だぞ?」
くすくすと男は笑う。
ああ、きっと嫌な奴だコイツ。
「そのフランの実のお父様が、今更私達に何の用でしょう?」
今まで来なかった癖に、と皮肉をたっぷり込めて言う。
「そう睨まないでくれ。用件はな…フランを連れて来ることだ」
にこっ、とフランの親は笑った。
フランを…連れて行く…?
「なんでっ、今更…!」
「私はイタリアでミオリフェッテファミリーというマフィアを営んでいるのだがね…。そろそろ引退を考えている」
マフィア…?
「そこで、私の血を唯一ひくフランに後継者として修行をつませたい訳だ」
「そんな危ない所にフランを行かせるわけないでしょ!?」
「フラン…家に帰ろう?」
「ミーの家は此処だよ」
「本当の家にだよ。私の子供なのだから私の元で暮らすのが道理だろう…?」
それは、分かる。でも…!
「ミーの家は此処だけですよー」
フランはそう言って、男を睨み付けながら私を抱きしめた。
「そうか…ならば仕方がないね…。強行突破で行こう」
男がパチンと指を鳴らすと…沢山の人が出てきてフランを捕らえた。
「フランッ!」
「…っ!」
じたばたと暴れるフランだが、数人の男に押さえされては手も足も出ない。
「では、永遠にさようなら。フランの偽りの家族さん…」
そう言って男は笑って、家からフランと共に出て行った。
私も慌てて飛び出した。
しかし、もうフランは車に入れられる所で。
「なまえっ!」
フランのその声を最後に、車は姿を消した。
「フラン…」
私はその場にへたり込んだ。
フラン…フラン…。
涙が止まらない。…でも、私やることは分かってるよ。
フランは私の名前を呼んだ。
私はちゃんと、小さい頃の約束を覚えてるよ。
「私は針千本なんて飲んでやらないよ」
ねぇ、フラン。言ってくれたよね。
此処がフランの家だって。私、嬉しかったよ。フランのその言葉。
それに、皮肉だけどあの男のせいで気付いちゃった。
私は…弟としてだけでなくフランが好きだ。
私達は偽りの家族なんかじゃない。
うちの家もフランが好きで、フランもうちが好きで。
…ほら、本当の家族じゃん。
あんな都合のいい時に来る男になんかフランをあげないよ。
…だから。
今行くよ、フラン。
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