「もしも、フランが私をよんだらね、どんなに離れていても私はフランの所に行くよ」
「本当?なまえちゃん」
「本当本当。じゃあ、ゆびきりげんまんしよう」

小指をきゅっと絡めた。

「「ゆーびきーりげーんまーん嘘つーいたーら針千本のーますっ、ゆびきった!」」


「ねぇ、フラン。だからね、私達はずっと一緒だよ」






「ミーのお父さんは星になった筈ですがー」
フランは怪訝な顔でその人を見た。

「しかし、現に此処にいるだろう?」
「嘘ついてんじゃねーよ」
「嘘ではないよ」

ぴっ、と男が出したのはDNA鑑定の結果。
「先日フランの髪をこっそり頂戴してね」
「……!」

ギッ、とフランは男を睨んだ。


「そう殺気をむけるな。実の父だぞ?」
くすくすと男は笑う。
ああ、きっと嫌な奴だコイツ。



「そのフランの実のお父様が、今更私達に何の用でしょう?」
今まで来なかった癖に、と皮肉をたっぷり込めて言う。


「そう睨まないでくれ。用件はな…フランを連れて来ることだ」
にこっ、とフランの親は笑った。


フランを…連れて行く…?

「なんでっ、今更…!」

「私はイタリアでミオリフェッテファミリーというマフィアを営んでいるのだがね…。そろそろ引退を考えている」

マフィア…?

「そこで、私の血を唯一ひくフランに後継者として修行をつませたい訳だ」
「そんな危ない所にフランを行かせるわけないでしょ!?」
「フラン…家に帰ろう?」

「ミーの家は此処だよ」
「本当の家にだよ。私の子供なのだから私の元で暮らすのが道理だろう…?」


それは、分かる。でも…!


「ミーの家は此処だけですよー」


フランはそう言って、男を睨み付けながら私を抱きしめた。


「そうか…ならば仕方がないね…。強行突破で行こう」

男がパチンと指を鳴らすと…沢山の人が出てきてフランを捕らえた。



「フランッ!」
「…っ!」

じたばたと暴れるフランだが、数人の男に押さえされては手も足も出ない。



「では、永遠にさようなら。フランの偽りの家族さん…」
そう言って男は笑って、家からフランと共に出て行った。

私も慌てて飛び出した。
しかし、もうフランは車に入れられる所で。


「なまえっ!」


フランのその声を最後に、車は姿を消した。



「フラン…」


私はその場にへたり込んだ。
フラン…フラン…。
涙が止まらない。…でも、私やることは分かってるよ。


フランは私の名前を呼んだ。
私はちゃんと、小さい頃の約束を覚えてるよ。

「私は針千本なんて飲んでやらないよ」

ねぇ、フラン。言ってくれたよね。
此処がフランの家だって。私、嬉しかったよ。フランのその言葉。


それに、皮肉だけどあの男のせいで気付いちゃった。

私は…弟としてだけでなくフランが好きだ。

私達は偽りの家族なんかじゃない。
うちの家もフランが好きで、フランもうちが好きで。
…ほら、本当の家族じゃん。

あんな都合のいい時に来る男になんかフランをあげないよ。


…だから。





今行くよ、フラン。


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