お父さんがいなくて、お母さんが倒れて。
ねぇ、みんなどうしてそんな可哀想な目でミーを見るんですー?

そんなに、ミーは…可哀想な奴ですかー?
知ってますー?可哀想な目で見られるって、つらいんですよー…。


「フラン、私はね、なまえっていうのよ。よろしくね!」


だから、あの笑顔はすごく嬉しくて、眩しくて、ミーの光だった。







「聞いて、晴香。弟が反抗期なんだ」

昨日のショックから立ち直れない私は机に突っ伏した。

「まぁ、きっとお姉ちゃんがウザい年頃ってあるよ。うん」
「まじで!?私フランにウザがられてんの?」

ショックだそれ!奴は生意気だが可愛い弟だぞ。


「しゃーないよ、年頃ってそんなもんだ」
「だってだってフランあーー!」
「何語!?」



『あはは、フランは可愛いねー』
『もー、可愛いってゆわないで下さいよー!』
『ふふふ、ごめんごめんー』
『なまえちゃんー』
『なぁに?』『ミー、おっきくなったらなまえちゃんと結婚しますー』
『うふふー、いいわよー』
『本当ですかー?』
『ほんとほんと』
『わーい、なまえちゃん大好きですー』
『私もフラン大好きだよ!』




「あの可愛いかった頃のフランは何処へ!」
「その可愛いかった頃の弟君を私は知らん」


そりゃあそうだ。








「ただいまん」
「おかえりですなまえー」
「ん」

家に帰ったらフランが普通だった。
なんだ、君は反抗期は1日で終了か。



「え、フランのおねーさん?」



んー?他の人の声?
フランは男子校だからー…男子か。


「どれどれ?フラン、見せてみ…」
「女子っ!?」


なんと扉から出てきたのは…金髪ショートのティアラ付けた貧乳ボーダー服ボーイッシュ美少女…だと!?



「あ、いや…フランのねーちゃ…」
「フラン!ちょ、この娘は…」
「えっと…、先輩の…」


(!おっもしろそー)


「はじめましてっ。私、姫子ていいます。よろしくお願いしますねっ」
「は…?」

フランは何だよいきなりコイツキモイ的な目で姫子ちゃんを見ていたが、私は気が付かなかった。



フランの、がーるふれんど…?



「フラン…」
「はい…?」
「お幸せにいぃぃ!」


私は自分の部屋まで全力疾走した。
家で全力疾走意外とできるもんだな。



「ちょ、なまえ!?」
「ししっ、ざまぁ」
「…死ね。堕王子」

フランは、本当は男である自称姫子ことベルを睨みつけた。









私はベッドに腰掛けていた。
「…………」
フランに、彼女。

いつまでも子供だと思っていたのになあ。
や、同い年だけども。

彼女…って事は…あの人がフランのお嫁さん!?


「どっどっどっ…どうしっ」


どうしようてどうすんねん!
テンパりすぎじゃん私。


ガチャ
「なまえー…」
「ひいっ、フラン!?」
「ひいって酷くないですかー?」


フランはヅカヅカと入ってきて、私の横に腰掛けた。

「姫子ちゃんは」
「帰りましたけどー」
「そう」


今までにあまりなかった、沈黙がながれる。
何だか昨日からフランと私がおかしい。



「あの…なまえ。さっきの人は…」
「懐かしいよね」
「へ?」

ぽかんとするフランに対し、私は寂しそうに話す。

「フランに彼女ねー」
「だからそれは」
「フランさ、昔…私と結婚するって言ってくれたなぁ」
「…!」
「そのフランがこーんなに彼女が出来るくらいおっきくなっちゃって」


そう言ってフランを撫でた。


「…けんなよ」
「へ?」


ぐるん。
フランに肩を押されたかと思ったら視界が揺れた。


およ?なんじゃこりゃ。私、倒れ込んでる?


「えーっと…フラン?」
正面にはフランの顔があって。
え、倒れ込んでるのになんで?


「人がせっかく今まで我慢してきたのにー」
「?」
「いーこと教えときましょー」
「あ、え、う…?」
「あの時とミーの気持ちは変わってませんし、あの時の言葉は冗談でも子供の戯れ言でもないんですよー」

フランは私の髪を一束すくって自分の唇にあてた。
え!?ちょ、待っ、ついてけないんですけど!


「言いましたよねー?ミー。もう我慢しないって」





そう、真剣な顔をしたフランに、ああ…これが友達の言ってた意識するって事か…。なんて考えていた。


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