学校に着くと、昇降口に茅琉が居た。

「なまえー?」
「茅、茅琉…」
「SHRになまえ居ないからどうしたのかと一限目終わって昇降口来てみたら、風君と一緒だったのはどういう事かなぁー?」
「その、なんていうか…」

一応私達は、朝の一件から…彼氏彼女の関係になっているんだと、思う。
でもそれを口にするのはあまりに気恥ずかしくて。

「…えっとー、その…」
「付き合う事になりました」
「風君っ!?」

付き合う、なんて言葉が風君の口から出てきたものだから私はなんだかとても恥ずかしくて、赤くなった顔を俯かせた。

「ふぅーん」
「その、茅琉…」
「おめでとうなまえ、よく頑張ったね」

茅琉は私をぎゅっと抱きしめた。
私はなんだか涙が出そうになった。

「ありがとう、茅琉…」
「…茅琉、さん」
「…何」

なまえへとはまた違った声だった。

「…すみません、ありがとうございます」

茅琉にとって、なまえは大切な友人だった。
友人や親友という括りを飛び越して、彼女にとっては相棒や片割れのような…そんな存在だった。
だからこそ、任せられそうにない相手ならば、妨害する気だった。
茅琉の事を心から信頼しているなまえならば、茅琉が止めれば素直に想うのを止めたかもしれない。
けれど…、そうしなかったのは。

「…いいよ、2人が想い合ってるなら」

なまえも風に惹かれていると、気付いていたからだろう。


「でもなまえ泣かせたら急所でも蹴るわ」

足をしゅっと振り上げた茅琉に、風は苦笑いをした。

「できる限りの努力をしますよ」


すると2限目を知らせるチャイムが鳴り響いた。


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