私の家は所謂名家で。
親族である同い年の女の子との婚約が、生まれた時から決まっていた。


けれど、私は。


「…風は鳴明の婚約者。中国に帰ればずぐに結婚をする事が決まっているわ。…なノに、なのに風。婚約者の鳴明を置いて、別のオンナのとこいくノ?浮気?」
「浮気じゃありませんよ」
「…だよ、ね。だって風は鳴明の…」
「私があなたとの婚約を承諾した事がありましたか?」
「………っ、なんで?どうしてよ風。お父様もお母様も、親族の皆も公認の婚約なのに」
「私は先程の彼女の事が好きです」
「でも婚約者は鳴明だもん!」
「私が結婚するのは、あなたではありません」

鳴明の手を振り払い、なまえさんの後を追った。


…私が日本に来た本当の理由は、この国で生きる力をつけ、あの家を出るためだった。

もし、どうしようもなければ致し方ないと考えていたけれど。



「…なまえさんっ」


私はなまえさんと結婚ができないならあの家に帰るなんでできない。


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