「スリッパの何が嫌ってさぁ」
「うん」
「ぺったんぺったんうるさいよね」
「だねぇ」
私はぺったんぺったん音を立てながら私は廊下を歩いている。
「でもさぁ、なんでいきなり?今までは平気だったのに」
「微妙に長いんだけど…あのね、かれこれこういうわけなのよー」
「いや、何一つわからねぇよ」
漫画でよくある言い方をしてみたが、まったくもって伝わらなかった。
ですよねー。
「うん、あのね」
*
「というわけなのよー」
「うわぁ、風君可哀想」
「すみません」
「でもさ、風君が勝手にアンタを好きで、それでなまえがこんな目にあうなんて」
納得できない。
茅流は手に力を込めていた。
「ありがとう、茅流」
「だって…っ」
そう言ってくれる茅流が居るから、私は今この状況でもなんとか冷静で居られている。
茅流のおかげでどんなに助かっているか。
そうはいっても、茅流の手に込めた力が弱くなりはしなかったのだけど。
prev - next