「…これはどういう事かなぁー…」
下駄箱が荒れていた。
なんて言うか、泥まみれになっていた。
その中には手紙が入っていて「死ねブス」なんて、なんとも幼稚なような過激なような内容が書かれていた。
とりあえず、うん。
「どういう事かな、これ」
「うわ、ひど…」
「茅流、これなんでかなぁ」
「そりゃあ十中八九風君親衛隊の嫌がらせでしょ。それにしても悪質ね。まるで苛めだわ」
もしかして、昨日風君が私を抱きしめた所を、見ていた人が居るのだろうか。
「とりあえず、茅流とかは平気だよね?」
「うん、平気だよ」
「そっか。巻き添えくらわしちゃったらどうしようかなって思っちゃった」
「…大丈夫?」
「うん。だって、茅流は私を嫌いじゃないよね?」
「当たり前じゃん」
「ありがとう。私は好きな人に嫌われたわけじゃないから、大丈夫だよ」
べつにこういう事をする人に何を言われても、されても痛くない。
だって、私もあなたたちが好きじゃない。
それに、彼女らは風君が好きだ。
きっと日々の支えだろう。
それを私が奪ったと思い、やり場のない怒りをぶつけたのだろう。
別に彼女達を庇うわけでも許すわけでもないけれど、けれど私は。
「とりあえずスリッパ借りてこよー」
「あ、じゃあついて行ってあげるー」
「てんきゅー」
きっと私が彼女達なら、私も悲しかったよ。
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