なまえさんに部屋から追い出されて、とりあえず部屋の前に立ってみる。
「ふー…」
怒らせてしまっただろうか。
彼女が私の言葉に、行為に多少なりとも困っているのは理解している。
でも、あまりに…。
「本当に、彼女が可愛らしくて…」
声を高くして、媚びたように私に話しかけてくるどの女性より。
元々、今まで見せ物状態で扱われてきた事から女性は少々苦手だ。
しかし彼女は、多少私に好意があるのではと感じるものの、繕う雰囲気は無く、ありのままでいてくれて居場所になってくれる。
「可愛い」と言えば、顔を真っ赤にして声をひっくり返して否定する。
なんだろう、あまり恋情というものを抱いた事がないからよく分からないけれど、彼女といると落ち着いて、もっと彼女と居たくて、思わず「可愛い」と思ってそれを口にしたくなったり、彼女ともっと話して、彼女を知りたくて、できればずっと側に居られたらと思うような。
…この感情が恋と言うならば。
もしかしたら、私はもうとっくに、なまえさんを好きなのかもしれない。
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