「そして近所のお姉さんくらいのポジションで、部活同じ異性の先輩みたいな感じで……」
「よくわかんねーけど欲張りすぎだろ。それに4番目って、オレ、友達いねぇし」
「ううん、それでも絶対4! これは譲れないね!」
「なんだよその4に対する熱い執着は」

 キルア君ってツッコミ体質なとこあるよね?
 ……キルア君にはゴン君やレオリオやクラピカが居るのだから、私は4番目がいい。それ以上になるべきではきっとない。

「あっ」
「どうかしたのか?」
「今時間ありそうよね、試験正午からって書いてあるもの。実はね一次試験で動きまくるとパンツ見えるって分かったからスパッツとタイツ穿いてくる。穿いてきたらそのまま試験受けちゃうと思うからまた余裕あったら話そうね。じゃっ!」
「え、あ、ああ……」

 キルア君は色々事情があっても結局少年なので、パンツ見えるからって理由を言われたらもう何も言えないだろう。
 本当の理由は、遠くにゴン君達が見えたから。そろそろ離れ時だ。タイツとか穿きたい気持ちは嘘ではないけど。
 あの時ついキルア君を見かけて嬉しくて舞い上がってしまったから、一次試験の時にも話をしてしまったけれど本来は関わるべきではなかった。
 キルア君は多分私にそれなりに親しく接してくれる。久しぶりに会ったのもあって、私が近くに居たらある程度私と話そうとしてくれるだろう。
 ゴン君を気に入っているし、あまり私ばかり優先する事は無いだろうけれどキルア君の時間を少しでも奪いたくはない。

 原作通りにしないと、という強迫観念がある訳ではない。一切が駄目ならば、もう既に手遅れだ。
 ただ、あまり外れた行為で未来が更に悪いものにならないかが怖いのと……単純に、キルア君には幸せになって欲しいのだ。


 それに、近くに居れば居るほど私がイルミさんが居る事を隠している裏切りでキルア君を傷つけてしまうから。

「話しかけないでなるべく近寄らないようにしても人数が減れば絶対バレてたし、最初から変装しなきゃいけなかったんだよなぁ。今からじゃ、私が死んだかもってキルア君心配させちゃうし」


 はぁ、とため息を洩らす。
 だから、私はひとつに一直線で他が疎かなんだ。

 考え込んでいたら時間が無くなってしまいそうなので、ひとまず、タイツ諸々をさっさと穿いてイルミさんの所に戻る事にする。



 ーーーーーもうすぐ、第二次試験が始まる。


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