目の前までトラックが迫っていた、あの時の事は頭にこびり付いて消えない。
除けなきゃとか、怖いとか、そう思う前に私はそれによって命を絶った。…恐らくだけれど。
あっ、とか思ったら一瞬例えようもない激痛が走って、目が覚めたら川の前にいた。
…そしたらなんだこいつとか、記録に無いだのなんだの騒がれて、角のある変な人間に引っ張って来られてからの放置プレイ。
そしてなんか知らないけど私が丁度読んでいた漫画に出てくる主人公様が目の前に居て…というなんじゃそりゃ的な状況になって今に至るのだけど。
「此処で働いてみますか?」
「嫌です」
ああ、何故私がこんな目に。
「…理由は?」
「私は普通ーの人間なんですよ、罪人だろうが何だろうが人をミンチにしたり拷問するなんて精神的に耐えられる自信ありません。あと視覚的にグロテスクなのとか無理です」
ミンチにするくらいならミンチにされた方がマシ…とまではいかないができる気がしない。出来ない事は無理に出来ると言わない方がいいと思ってる。NOと言える日本人です!
「ふむ…。まあいきなりそういう事させるのは酷ですね。…ではまず清掃等からやっていただくのは如何でしょうか」
「あ、それなら…」
「あなた衆合地獄で亡者を誘うのにも使えなそうですし、まあその辺りが妥当でしょう」
「なんという遠回しな侮辱!」
そうして馬鹿にされつつ私は地獄に就職する事になった。
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