「おはようなまえ」
「あ、あれ?お兄ちゃん…?」

目を覚ますと、私の前にお兄ちゃんが居た。
…私の、本当のお兄ちゃん。

「何でお兄ちゃんが…?Nとトウヤ君は…?」
「何だ、何か夢でも見てたのか?仕事が休みだから今朝帰ってきたんだよ」
「そうなんだ…そっか、そうだよね」


全部夢…だよね。
アルセウス達がみんなをこっちにトリップさせてきたなんて、そりゃあ夢に決まってる。
私の町から、お兄ちゃんの存在が消えてたのも、普通に有り得ない話だ。


「ごめん、何でもないの。お兄ちゃん、おかえりなさ…」
「…ろ」
「あれ?」
「…ろよ」
「え…?おかしいな」

…この、声は…。



「起きろって言ってるだろ」



「…!」
「やっと起きたか」

また目を開けると、今度居たのはトウヤ君だった。

「…トウヤ、君」
「何お前寝てんだよ」
「え、え…」

お兄ちゃんは?
私の普通の日常は?

「姉さん、大丈夫?」
「トウコちゃん…」

トウコちゃんのその心配そうな表情を見て、こちらが夢では無いと感じさせられる。
…こんなにハッキリした夢、あるわけないもの。

「お昼に姉さんの教室に行っても姉さん居なかったから…。保健室に行ったって聞いて来たの。私達が突然来たから寝不足になったんだよね?ごめんね」
「…やっぱり、あっちが夢かぁ…」
「姉さん?」
「都合のいい夢でも見てたんじゃねーの」

…本当に、その通りだよ。
なんか余計に悲しくなっちゃうんだけど。

「睡眠も充分とれたでしょう。もうお昼休憩ですし、食事で栄養をきちんととって授業に出て下さいまし」
「…元気になりましたねノボリさん」

どうやら私が寝ている間に気持ちを持ち直したようだ。
あの時はまるで上司に怒られた社員のようだった。
…私も気持ちを切り替えよう。
どうせ、暫くあの日々に戻れないんだ。
こんな気持ちじゃやってられない。

「あー、よく寝た」
「そりゃあ4時間も寝てればな」
「もう、トウヤはどうしてそんなに姉さんを目の敵にするの」
「…別に」
「お腹減ったし、早くご飯にしようか。お迎えに来てくれてありがとう、トウコちゃん」
「どういたしましてだよ、姉さん」
「何俺を無視してんだよ」
「いだいいだい!頭ぎゅって掴まないでトウヤ君んん!」


どうやらこの夢みたいに不思議な日々はまだまだ続いてしまうようだ。


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