僕の記憶の中にはヒーローが居る。
勝ち気で男まさりな女の子だった。

魔導の才能が群を抜いているせいで孤立していた幼い僕に、彼女は優しくしてくれた…というより、連れ回してくれた。
普段の事を忘れる位遊んだ。


恐らく僕よりほんの少しだけ年上の彼女は…。
ある日の「またね」を境に居なくなってしまった。

そもそも、彼女の家も、名字も、何も知らなかった。
どこからともなく現れる彼女は、幽霊やイマジナリーフレンドだったのかもしれない。
よくよく考えてみれば、魔導を使っている所を一度も見たことが無かった。
それが彼女が“存在しなかったのではないか”という事を余計に感じさせる。
それでも…。



(またね)



いつまでも、彼女は僕のヒーローで、僕は彼女にまた会えるのを待っている。


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