「此処がお前の部屋だ」
「ゴホッ、ゲハッ」
「毛布ぐらいならくれてやる。あとはなんとかしろ」

そう言うと、シェゾはどこかに行ってしまった。
暫くは住まわせてやるとは言われたものの、着いた先は埃っぽいわ汚いわ物は散乱しているわでなんと言ったらいいやら…。

「こんな所に居たら体壊す!」

これじゃ部屋じゃない。ただのきったない空間じゃない!

とりあえず辺りを漁っていると、掃除用具らしきものを発見した。


「まず掃除よ掃除!」





「………」
「ふー、大分マシになった!あ、シェゾ」
「……何だ」
「このゴミ、なんとかできない?ここ一帯ゴミなんだけど、指定ゴミ袋とか無いでしょ?此処」
「……」

ボソリと声が聞こえた。
よく聞き取れなかったが呪文を言ったのだろう。
…私の言う事を聞くのが不服ってとこかな。

「お、消えた」
「ワープさせておいた。此処の上をゴミ捨て場にしている」
「そのゴミってどうするの?」
「後でファイヤーで焼く」
「なる程ー…。あ、それで何しに来たの?」
「飯だ」
「あ、カレーだー!」
そういえば、この世界でカレーは回復アイテムでもあるんだっけ。
一口食べると…うん、美味しいというか…確かに疲れが取れる気がする。

「おいしー」
「………」
「何?」
「呆れてるんだ」
「何で」
「お前は俺のせいで此処に来た」
「そうね」
「お前は俺が嫌いなのだろう」
「勿論」
「だというのに、与えられた食料を簡単に食べて…疑う事を知らないのか」
「それで何になるの?どっちみち食べなきゃ飢え死にするだけだわ」
「…それはそうだが」
「何?心配してくれてるわけ?」
「そんなわけないだろう」
「ならいいでしょ」


私はカレーを平らげた。
カレーは好きだ。
こちらの世界でも食べられるというのは嬉しい。


「ごちそうさま」
「…ああ」

シェゾは受け取った器(紙製)を、これまたボソリと呪文を呟いてワープさせた。

「そういえば、掃除で汗ベトベトなんだけどお風呂無い?」
「…この部屋を出て右に行き、突き当たりの階段を下りたら左に行くと温泉がある」
「わかった」


私は立ち上がると、温泉の方へ向かった。




「…随分とふてぶてしい女だ」


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