「ご希望のヒトガタ携帯はございますか?」
「108…トウヤでお願いします」
「トウヤですね。…こちらでお間違いございませんか?」
画面に表示されたトウヤの写真を見て、私は返事をする。
「大丈夫です。お願いします」
「はい。…では以前の携帯のデータをいくつかトウヤに内臓されているチップにコピーさせていただきます。インターネットなどは以前の携帯からご利用いただけます。今回はそちらは機種変更なさいますか?」
「いえ」
「かしこまりました。では、こちらがトウヤでございます。代金は180000円頂戴いたします」
「は、はい!これで…」
いけない。店員さんが連れてきたトウヤがあまりに綺麗で、ぼーっとしてしまった。
「丁度いただきます。では…こちら領収書と説明書、書類を纏めさせていただきました」
「ありがとうございます」
「またお越し下さいませ」
店員さんが私に軽くお辞儀をした。
手続きが全て終わったので、私はトウヤの方に身体を向けた。
「はっ、はじめまして」
「…はじめまして」
「えっと、私の名前はみょうじなまえといいます。よろしくね」
「あんたが俺のマスターですか」
「は、はい…まぁ…」
わぁ、まるでセイバーさんみたいな台詞ね!
「あ、あんまりマスターとか気にしないでね?できれば友達みたいになかよくやれたら…」
「随分貧相な身体したマスターですね」
んん…?
「あんたいくつ?」
「今年で22よ…。学生だったら18万なんてそう出せないわ」
「それで22ですか?冗談でしょう」
まてまてまて。
「じゃ、家帰って牛乳でも飲みましょうか?マスター」
こんなの嘘だ!
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