私は落ちていく髪を見つめていた。
あれから数分がたった。
いくらなんでも、そろそろゴンさんの髪は途絶えるだろう。


「ゴン、さん…」

つぅ…と涙が頬を伝う。
…私は、間違ってない筈だ。
私はキメラアントの所に行くゴン達に「私も行く」と駄々をこねた上、弱い私は置いていかれて、それだというのにたまたま街中でキメラアントと出くわして、殺された。
なんてくだらなく、つまらない結末だっただろう。

…ゴンさんの髪が穴に消えていくのに反比例して、私のその記憶が頭に浮かんできた。


「ゴンさん、ゴン…ごめんね…っ」


君は私を守ろうとしてくれたのにね。


「…あれ?」

涙が溢れる瞳を擦ると、ぼやけた視界が晴れて…そして。

「…引っかかって、る」

ゴンさんの髪が、引っかかっている。
思わず首を傾げた。
…どこにも引っかかる所はないのに、どうやって引っかかっているのか。

「…んしょっ」

とりあえず引っかかりを取ろうとするけどびくともしない。
…なんで、と思っていると、髪の毛が何かを持ち上げるような動作をした。
…え。




ーオレの髪は筋肉になってしまっているからー…ー




「…っ」

気づいた時にはもう遅く、髪の毛の力で宙に投げ出されたゴンさんが視界に映った。


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